研究課題/領域番号 |
17K17595
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
楢本 悟史 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (30612022)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 極性 / オーキシン / PIN |
研究実績の概要 |
本年度は植物細胞の極性構築メカニズムを明らかにすることを目的として (1)PINの偏在化における機能未知遺伝子MAB4の役割およびMAB4とPINの分子的関係の解析、(2)細胞壁によるPINの局在化・クラスター化制御機構の解析、(3)PINクラスター構成タンパク質複合体の単離およびその後の機能解析、(4)PINの極性局在・クラスター化を制御する因子の探索・同定、の4点から解析を行った。 (1)では、MAB4-GFP発現体を作成し、その局在様式を解析することで、PINと同様に細胞膜近傍でクラスター構造をつくることを見出すとともに、PIN2mchery、MAB4-GFP共発現体を作成することで、両者が近傍において局在しており、同一のクラスターを形成する可能性が示唆された。また両者の相互作用の有無を明らかにするために、PIN2-YFPおよびMAB4-CFPの発現体の作成に着手した。さらにはMAB4-GFPをpin2変異体に導入し、その局在を解析したところ、顕著な異常は見られないことが明らかになり、MAB4の局在はオーキシンの極性輸送とは独立に制御されることが示唆された。 (2)では、細胞壁修飾酵素PMEIの過剰発現体では、PINのクラスター形成が阻害されることを明らかにした。一方、PMEIの植物体における局在化機構を明らかにするために、PMEI-GFP発現体の作成を行った。 (3)では、シロイヌナズナを用いて、抗PIN1抗体および抗PIN2抗体による免疫沈降を行った。しかしながら、免疫沈降後のwestern blotの結果、免疫沈降がうまくいっていないことが明らかになった。 (4)では、van6変異体の全ゲノムシーケンス、ならびにマッピングを行い、10個の候補遺伝子を同定した。 (3)の実験ではあまり進んでいないが、他実験は全体として順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画として (1)PINの偏在化における機能未知遺伝子MAB4の役割およびMAB4とPINの分子的関係の解析、(2)細胞壁によるPINの局在化・クラスター化制御機構の解析、(3)PINクラスター構成タンパク質複合体の単離およびその後の機能解析、(4)PINの極性局在・クラスター化を制御する因子の探索・同定、の4点から解析を行った。1)、2)、4)については十分な予備実験、および実験材料の作成を行うとともに、計画した実験の大部分は期待通りの結果を得ることができた。一方、3)については、実験の遂行に支障がみられたものの、打開案となる、他のアプローチによる実験の、実験材料の作成は順調に進んでいることから、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において解析が終了しなかった研究課題の多くのものについては、既に十分な予備実験済みであり、直ちにこれらの解析に着手する予定である。また、既に予備データを得ているものについては、再現性の確認を行いたい。一方、解析が順調に進まなかった(3)については、抗体が免疫沈降に適さない可能性があるので、抗PIN抗体だけではなく、PIN1-GFPあるいはPIN2-GFP発現体を用いてGFP抗体を用いて免疫沈降を行う予定である。なお、GFP抗体を用いてもうまく行かない場合には、使用する組織、植物体の量など、実験条件の最適化を図る予定である。
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