研究実績の概要 |
本研究は、歴史資料における記録とのこされたものから、自然と人間の関係および地域の歴史文化をひもとくことを目的とする。近世から近代にかけて、庄内藩を中心とした地域において活躍した地域科学者として知られる松森胤保の著作を分析・検討することにより、生き物をはじめとするものの蒐集という行為に着目し、地域にのこされた歴史資料群の保存と活用についての方法の一つを提示する。彼の著作の一部を調査・分析・紹介することで、代表作とされる『両羽博物図譜』作成に至る、ものの蒐集活動や、鶴岡における蒐集活動の文化的意義を明らかにし、また、資料の翻刻を行うことで、松森胤保著作の、鶴岡市をはじめとする地域での活用へとつなげていく。 本年度は、松森胤保著作のうち、著作目録の検討と『家蔵五玩雑録』5冊を中心に、『百年間談』10冊および息子の日記の調査をおこなった。『家蔵五玩雑録』は『両羽博物図譜』の作成にもかかわる蒐集記録である。『家蔵五玩雑録』、『両羽博物図譜』および息子の日記の調査から、蒐集にかかわる人物のつながりや蒐集物の移動と保存についての成果は、生き物文化誌学会において報告をおこなった。松森胤保が生き物を蒐集する目的について、EAEH2017のパネルセッション Humans Response to Nature in the Japanese Local Areas from 17th to 19th century: focus on Coastal Livelihoods, Marine Disaster, Infection and View of Domesticating Animals. において報告をおこなった。
|