研究課題/領域番号 |
17K17601
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
KLAUTAU Orion 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (10634967)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 近代仏教 / Modern Buddhism / 村上専精 / Murakami Sensho / 日本仏教 / アカデミズム / 修養論 / 女子教育 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究代表者が当初の研究実施計画に沿って、資料の収集も含む基礎的作業に集中しつつ、1890年の東京大学着任より以前の村上専精の思想と、それを取り巻く学界の生成に焦点を当てた。具体的には、専精の自伝たる『六十一年――一名赤裸裸』(1914年)の批判的検討に加え、雑誌論文も含む彼の作品の総合目録作成も進め、それらの成果を企画中の論文集に掲載する予定である。村上専精の初期思想の理解を深めるべく、1880年代における日本仏教者の大乗論を考察して、その成果の一部をドイツのハイデルベルク大学での国際ワークショップ「Mahayana in Europe: Japanese Buddhists and Their Contribution to Academic Knowledge on Buddhism in Nineteenth-Century Europe」(欧州における大乗――日本の仏教者と19世紀ヨーロッパへのその学術的貢献)にて報告した。それに加え、今まで着目されることがほとんどなかった明治末期における彼の女子教育論を取り上げ、同時代の修養思想との関係において検討し、「近代仏教と修養――村上専精の教育論を中心として」という題目で日本宗教学会の学術大会で発表した。そして昨年の12月16日に、村上専精の思想を検討してきた国内外の専門家を集め、東京大学大学院人文社会系研究科インド哲学仏教学研究室との共催で、国際シンポジウム「村上専精と近代日本仏教」を開催した。シンポジウムは盛会に終わり、その成果は上記に言及した論文集として今後、本研究プロジェクトの主要な成果として刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の主要目的であった基礎的な作業の遂行はある程度まで達成でき、本研究は「おおむね順調に進展している」といってよい。特に、東京大学本郷キャンパスを会場として開催した国際シンポジウム「村上専精と近代日本仏教」で、村上専精について今まで学術成果を発表した研究者のほぼ全員を集め、専精を中心としつつ従来の近代仏教とアカデミズムとの関係をめぐって、その再考に迫ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、これまでの成果を踏まえつつ、すでに始めている専精の修養思想に関しての検討を進めたい。上記の国際シンポジウム「村上専精と近代日本仏教」を踏まえた論文集の編集に尽力しつつ、代表者の研究を踏まえた成果を日本近代仏教史研究会、日本宗教学会、そして日本思想史学会の学術大会で報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
「若手研究(B)における独立基盤形成支援(試行)」として配分された追加額は研究室の整備等を目的としているが、その整備は所属先の講座の都合上2018年度の4月以降に行うことになり、繰越を依頼した次第である。
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