研究課題/領域番号 |
17K17601
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
KLAUTAU Orion 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (10634967)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 近代仏教 / Modern Buddhism / 村上専精 / Murakami Sensho / 倫理/宗教 / 真俗二諦 / 廃仏毀釈 / 神仏分離 |
研究実績の概要 |
本年度も、当初の研究実施計画に沿って、資料の収集を含む作業に集中しつつ、東京(帝国)大学着任後の村上専精の思想的展開に焦点を当てた。具体的には、20世紀初頭における専精の「倫理」や「宗教」といった、「真俗二諦」なる教学的な用語との関係で取り直されていくカテゴリーの検討に加えて、今まで取り上げられることが皆無であった専精晩年の歴史思想に関しても考察した。すなわち、昨年度に考察した初期専精の道徳論と、世紀転換期から示されていく彼の「修養」や「教育」にまつわる見解、そして畢生の業績とされるその「統一論」の基盤となっていく、「社会」に対する仏教の役割をめぐる彼の視座の展開を考え、より広い明治後期の思想的枠組で位置づけることに成功した。その成果の一部を日本宗教学会の第77回学術大会で個人発表「世紀転換期の村上専精における宗教と倫理の領域」として行い、活字化に向けて準備している。さらに彼の晩年思想に関しては、日本思想史学会2018年度研究大会でのパネルセッションにおいて報告し、特に専精の国学観等を含むその「廃仏毀釈・神仏分離」の歴史叙述について、編著『カミとホトケの幕末維新』に論文「日本宗教史学における廃仏毀釈の位相」を寄稿した。そして昨年度に開始した村上専精総合著作目録の作業を完成し、2017年12月16日に開催した専精をテーマとする国際シンポジウムの成果を活字化しつつ論集『村上専精と日本仏教の近代』(仮題)の編集作業にも尽力し、2020年度に刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の主要目的であった世紀転換期以降の専精の思想的再検討もある程度まで達成できたため、本研究は「おおむね順調に進展している」といってよい。初期専精の道徳論と、世紀転換期以降の彼の歴史思想との関連について新知見を得、『村上専精と日本仏教の近代』の編集も進展し、専精を中心としつつ近代日本仏教史の上書きにつながるような成果を最終的に期待したい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまでの成果を踏まえつつ、最晩年における専精の教祖論に関しての検討を進めたい。上記の論文集の編集に尽力しつつ、成果を17th Annual Conference of the European Association for the Study of Religions (EASR) などの国際集会、日本宗教学会や日本思想史学会など国内の学術大会でも報告する。最終年度から、本研究の総合的な成果として、英語単著の執筆も進める予定である。
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