研究課題
最終年度に当たる2019年度も当初の研究実施計画に沿って、資料の収集を含む作業に集中しつつ、晩年の村上思想も含めて、研究の総合的なまとめに尽力した。具体的に、明治末期から大正期にいたる村上専精の修養思想は、彼の女子教育事業の枠組で如何に形成され、そこから生まれる彼の人格論は最晩年の宗祖論と如何につながるのかも検討し、その成果の一部はすでに論文として結実した。すなわち、昨年度に考察した専精思想の世紀転換期までの歴史的展開をさらに検討し、1910年代以降の思想的枠組で位置づけた。村上専精の思想を総括する作業として、ヨーロッパ宗教学会(EASR)の第17回学術大会にて「The Predicament of the Non-Modern: Murakami Sensho and the Essence of Buddhism in Meiji Japan」(明治日本における村上専精と仏教の本質)、そして第2回インドネシア日本学術フォーラムにて「Religion and Ethics in Early Twentieth-Century Japan: Murakami Sensho and Buddhist Modernity」(20世紀初頭における宗教と倫理――村上専精と仏教の近代)などの報告を行って、英語モノグラフの準備も進めた。さらに、専精を対象とする初めての研究書『村上専精と日本近代仏教』の原稿も完成し、同書は2020年度内に法藏館から刊行される予定である。なお、本課題は「若手研究における独立基盤形成支援」の対象となり、課題開始の当初、十分ではなかった設備レベルも含む研究基盤の整備も果たせた。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (2件)
『村上専精と日本近代仏教』(オリオン・クラウタウ編、法藏館)
巻: 単行本 ページ: 印刷中
Buddhism and Modernity: Sources from Nineteenth-Century Japan (ed. Orion Klautau and Hans Martin Kraemer, Honolulu: University of Hawai'i Press)
『近代日本宗教史』(第5巻「敗戦から高度成長へ」、島薗進・末木文美士・大谷栄一・西村明共編、春秋社)
巻: 第5巻 ページ: 印刷中
The Journal of Japanese Studies
巻: 46 ページ: 178-183
https://doi.org/10.1353/jjs.2020.0015
『日本思想史学会創立五〇周年記念論集』(前田勉・苅部直編、ぺりかん社)
現代と親鸞
巻: 41 ページ: 191-231
日本思想史学
巻: 51 ページ: 42-46