研究実績の概要 |
私は東北大学病院集中治療室における統合ビックデータの構築のため、東北大学病院に分散している非構造化データを一元化し、解析可能な構造化データへの変換し、集中治療室入室患者の重症度とコストの関係を分析し、患者の重症度変化に応じた、最適な医療資源の分配と最大の診療効果を上げる治療を導き出すアルゴリズムを開発することを計画した。 この統合ビッグデータを構築するため、パネルデータベース用サーバーの設置し、周術期部門システムベンダーの協力の下、患者重症度スコア等のデータクリーニングを行ったうえで、過去5年分の東北大学集中治療室入室患者の集中治療部門システムデータ、生体情報ベットサイドモニターデータを転送した。また、病院診療録データ、DPC/PDPSデータについても大学病院医事課の協力のもと材料費、労務費、経費データを取得し、データを転送、統合した。 この統合ビッグデータを用いて当院集中治療室における原価計算を行った。この計算によると、2017年単月において、費用を除いた材料費と労務費の合計が75,710,585円とすでに収入の74,748,228を上回っており、費用を加味すると大幅な赤字であることが判明した。この結果の一部は第46回日本集中治療医学会学術集会にて報告した。また、重症度とコスト予測の関連において、看護必要度に重症度スコアであるSOFAスコアを加えると、コスト予測精度が上がる傾向があることが分かった。 この統合データベースは今後も運用可能であるため、さらに深層学習による1日ごとの重症度、医療コスト、診療報酬額の解析を継続する。
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