研究課題/領域番号 |
17K17613
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
若狭 幸 秋田大学, 国際資源学研究科, 特任助教 (40442496)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | UAV / 液晶可変フィルタ / 斜面崩壊 / リモートセンシング |
研究実績の概要 |
土砂災害は地質に依存するため,発生後,迅速に地質を判読する必要がある.近年,立ち入り困難な災害地などで即時に調査できるため無人航空機(UAV)が災害研究に多く利用されている.このUAVに波長分解能が高いハイパースペクトルカメラを搭載した調査により,災害直後の地質判読調査は飛躍的に向上する.本研究では,ハイパースペクトルカメラと同等の波長分解能を持つ安価で軽量な液晶可変フィルタ(LCTF)カメラをUAVに搭載し,土砂災害の即時的な地質分布判読ができるシステムを構築し,災害調査法の発展に寄与することを目的とする.これまでUAVによる災害調査は可視領域の画像や動画取得が主であったが,LCTFカメラは可視領域および近赤領域の画像を高波長分解能で取得することが可能なため、地質判読ができるようになることが期待されている.H29年度はLCTFカメラの立ち上げと基礎データの蓄積を実施した.地表面から採取した土壌試料,標準的な粘土鉱物,岩石,その他標準試料や植生試料を収集し,LCTFカメラで撮影した.現在,実験室内において,撮影の際の取得波長に応じた露出時間,照度の関係を求める試験を実施している.また,撮影した画像は波長ごとに記録されるため,その画像のコンポジット方法や撮影中のずれに対する対応について検討している.一方で,実際のUAVに搭載したLCTFカメラによる画像取得へ向けて,UAVを屋内で飛行する試験を実施した.その際,UAV飛行中にLCTFカメラを操作するためのシステムの構築が必要であることが明らかになり,遠隔操作システムを構築した.また,斜面崩壊の調査対象地の検討を行い,秋田県の由利本荘市,大館市を候補地として現地調査を実施した.これらの方法論や応用・適応分野について秋田県内のイベントにおいて広く一般市民向けに情報発信を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は当初の予定どおり,LCTFカメラを用いた実験実験を実施した.また,2018年度に実施予定のLCTFカメラをUAVに搭載した斜面崩壊地の撮影場所の選定もできた.さらに,LCTFカメラをUAVに搭載して試験飛行できたことは予定よりも早い.しかしながら,LCTFカメラは汎用性のある市販のカメラとは異なり,その操作方法の検討や,得られた画像の処理方法に当初よりも作業が難航している.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は2017年度に決定した候補地において,UAVにLCTFカメラを搭載して斜面崩壊地の撮影を実施する.前半は,UAV飛行の許可申請や,斜面崩壊地以外の海外における撮影を予定している.海外における撮影において,これまで問題となっていた照度,露出時間,撮影時の波長間の画像のズレなどについて検討し,国内での撮影に備える.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験室内での作業が増えたため,出張や野外調査が当初の予定よりも少なくなったため,次年度使用額が生じた.2018年度は2017年度にできなかった野外調査を実施する予定であるため,そのために次年度使用額を使用する予定である.
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