本研究では,まず,パターンの対称軸の観点から漢字部首が配置される空間位置を決めて「評価パターン」を作成し,評定実験によりその妥当性について検討した。次に,この評価パターンを用いて,小学生(5年生と6年生)を対象とした漢字書字エラーについて分析を行った。結果から,漢字パターンの複雑さが上昇するにつれて,正答率が低下することがわかった。特に,漢字パターンの複雑さは学年による影響を受け,5年生において複雑さの影響が顕著であった。また,認知モデルについても検討し,漢字パターン認知の書字エラーには,同等集合サイズ,変換構造,物体数などパターン認知の理論も用いるとより説明できることを考察した。
|