本研究は明治・大正期の町村役場文書の件名目録を作成し、史料写真をWeb公開することによって、史料を活用できる環境を整備すること、およびその方法を提案することを目的とするものであった。これを実現するため、(1)件名目録の作成、(2)史料撮影、(3)マスキング処理、(4)公開環境の構築の四つの作業を順次進めた。調査・研究対象とした資料は、福島大学附属図書館が所蔵する福島県双葉郡の町村役場文書である。これは、1889(明治22)年から1923(大正12)年にかけて作成されたもので、全27 冊(大堀村<現・浪江町>10 冊、久之浜村<現・いわき市>16 冊、長塚村<現・双葉町>1 冊)からなるものである。ただし、附属図書館で公開している書誌情報には、明治大正期の文書であることも福島県浜通り地方の町村役場文書であることも掲載されておらず、事実上、死蔵状態にある。 本研究を遂行した結果、以下の成果を得た。 (1)件名目録の作成はおおむね完了した。総件数は4506件である。 (2)史料撮影については、27冊中27冊全ての撮影が完了した。総画像枚数は1万362枚である。 (3)マスキング処理、(4)公開環境の構築については、所蔵者である福島大学附属図書館で画像のデジタルデータの公開環境の整備を進めているところであり、本研究での作業の遂行は不要となった。附属図書館でのデジタル画像の公開が始まれば、本研究で作成した件名目録及び資料画像データを附属図書館に提供する予定であり、附属図書館の環境整備を待って順次公開されることとなる。
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