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2017 年度 実施状況報告書

ガス化による放射性物質の分離・制御技術の開発とモデリング

研究課題

研究課題/領域番号 17K17618
研究機関福島大学

研究代表者

小井土 賢二  福島大学, 共生システム理工学類, 特任准教授 (60611762)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードガス化 / 放射性セシウム / 残存率 / 熱力学平衡計算 / モデリング
研究実績の概要

放射性物質(特に放射性セシウム)を含む木質バイオマスのガス化実験を実施して、発生したガス分析を行ったほか、ゲルマニウム半導体検出器を用いてガス化残渣の放射能測定を行った。ガス化剤は窒素、空気の二種類とし、温度は700℃から1000℃まで、S/C比は0.5から4までの条件で実施した。木質バイオマス中の放射性セシウムがガス化後にどれだけ残渣に残存したかを示す、残存率によって評価を行った結果、ガス化剤が窒素の場合、900℃以下の反応温度では残存率が高く放射性セシウムの気化が少ない事がわかった。ガス化剤が空気の場合も同様に900℃以下の反応温度では残存率が高いが、1000℃になって急激に残存率が低下する事がわかった。また温度1000℃のとき、S/C比の増加とともに残存率が低下しており、両者は互いに負の相関関係にあることが明らかになった。
燃料木質バイオマスにふくまれる放射性セシウムが気化しやすい温度帯と酸素量を明らかにすることで、ガス化ゾーン(乾燥・熱分解・燃焼・還元・ガス化)のうち、どのゾーンで発生しやすいかを明らかにする事ができる。これによって、放射性セシウムが発生しやすい条件を割り出すことができ、外部への拡散を防ぐ示唆を与えてくれる。また、今後のガス化平衡計算によるモデリングのための基礎データを収集することができた。
今後は、原料の木質バイオマスに含まれる微量金属元素を明らかにし、熱力学平衡計算によって生成物を推定し、実際のガス化残渣に含まれる微量金属との整合性をみることによって、ガス化のモデリングの検証を行う。放射性セシウムは蛍光X線などでは測定が難しいので、セシウムの安定同位体元素を用いてセシウム鉱物の生成状況を確認する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

木質バイオマスガス化装置を用いて、放射性セシウムの挙動を、反応温度、空気量、水蒸気量の3つの切り口から明らかにすることができた。これにより、熱力学平衡計算によるモデリングのための基礎データを取得することができた。今後は得られた結果をもとにモデリングとその検証を行う。

今後の研究の推進方策

今後は、原料の木質バイオマスに含まれる微量金属元素を明らかにして、得られた微量金属元素と元素分析値を入力値として熱力学平衡計算を行い、生成物を推定する。また、ガス化残渣については、蛍光X線分析を行い微量金属成分を明らかにする。平衡計算によるモデリング結果と分析で得られた微量金属との整合性をみることによって、ガス化モデリングの検証を行う。
また、放射性セシウムは蛍光X線などでは測定が難しいので、セシウムの安定同位体元素を用いてセシウム鉱物の生成状況を確認する。生成したセシウム鉱物とモデリング結果を比較して再検証する。

次年度使用額が生じた理由

ガス化実験のための備品や消耗品購入に当てたが少額が残ってしまった。今後は、クロマトグラフ用データ処理装置、プロセスシミュレータ・LCAソフトウェアのライセンス料などの使途を予定している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 木質バイオマスガス化における放射性物質の挙動解明2018

    • 著者名/発表者名
      岩﨑貴裕,小井土賢二,佐藤理夫
    • 学会等名
      第13回バイオマス科学会議
  • [学会発表] Fate of radioactive caesium during woody biomass gasification2018

    • 著者名/発表者名
      Kenji Koido, Takahiro Iwasaki
    • 学会等名
      26th European Biomass Conference & Exhibition
    • 国際学会
  • [学会発表] Fate of radiocaesium during woody biomass gasification in reductive atmospher2018

    • 著者名/発表者名
      Kenji Koido, Takahiro Iwasaki
    • 学会等名
      Impacts of Fuel Quality on Power Production and the Environment
    • 国際学会
  • [学会発表] 木質バイオマスガス化における放射性物質の挙動解明2017

    • 著者名/発表者名
      岩﨑貴裕,小井土賢二,佐藤理夫
    • 学会等名
      第8回福島地区CEセミナー
  • [学会発表] 竹資源のガス化特性評価2017

    • 著者名/発表者名
      新倉万結,小井土賢二,佐藤理夫
    • 学会等名
      第8回福島地区CEセミナー
  • [学会発表] 水生バイオマスの資源化に向けた研究2017

    • 著者名/発表者名
      紺野大地,小井土賢二,杉森大助,佐藤理夫
    • 学会等名
      第8回福島地区CEセミナー
  • [図書] Lignin - Trends and Applications2018

    • 著者名/発表者名
      Kenji Koido, Takahiro Iwasaki 他
    • 総ページ数
      297
    • 出版者
      InTech
    • ISBN
      978-953-51-3902-7

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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