小・中学校理科教員の養成課程において実践的指導力の強化と「主体的・対話的で深い学び」の実現の観点から,受講者に対する様々なフィードバックを検討することは重要である。特に,近年注目されるEdTechの観点からもデータ蓄積が望まれる。そこでチームによるプロジェクト型の模擬授業に着目し,LMS(学習管理システム)で受講者支援を行い,その中で蓄積された各種データを用いた直接的および間接的なフィードバックの手法を検討してきた。 直接的なフィードバックの検討では,模擬授業に関する受講者の振り返り成果物に対して使用単語の重み付け(TF-IDF算出)を行い,個別の特徴語群を抽出し全受講者の特徴語群の差集合を求めることで,フィードバック用のキーワード語群を抽出した。これらを各模擬授業における教員のコメントをテキスト化しタグ付けしたデータセットと照らし合わせることでフィードバックとして提示する文の抽出を進めた。TF-IDFの低い語の割合が高い受講者には,表面上の指摘にとどまっている傾向が見られ,本方法によるフィードバック利用への可能性が示唆された。 間接的なフィードバックの検討では,模擬授業の過程で生成される協議結果,板書結果,授業映像についてラベリングを行うとともに,各模擬授業における振り返りの特徴語をあわせて提示することで,場面に応じたフィードバックが教員より可能となるシステムを構築した。加えて,模擬授業に際して児童役による事前の教材分析に関する結果や想定する子供像が授業者役に提供されるシステムを追加したことにより,授業づくり段階でのフィードバックにも対応した。
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