研究課題/領域番号 |
17K17620
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
叶 少瑜 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (00762204)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | メディア心理学 / 異文化コミュニケーション / 異文化適応 / 安心・信頼 / 共生 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は留学生の内集団(留学生同士,特に文化背景が同じ人たち)に対する安心感と,外集団(文化背景が異なる人)に対する信頼感が彼らのソーシャル・サポート・ネットワーク(SSNs)と異文化適応とどのように関係するのかを究明することである。また,SSNsの形成と効果は対面によるものと,多種多様なメディアによるものと比較していかに異なるのか,個人的要因との関係性も含めて検討を行う。そこで,今年度は①留学生の外集団に対する信頼感がいかにソーシャル・サポートと関係するのか,②それは留学生の語学力(日本語能力と英語能力)や自尊感情,一般的な日本人学生に対する好意度に関連するかどうか,③これらの要因が日本における被受容感や異文化適応とどのように関係するのか,を究明することを目的とした。2017年6月上旬~7月上旬に関東地域の国立大学に在籍する留学生を対象に横断調査を実施した。206名の回答を対象に分析した結果,以下のことを明らかにした。 (1)自尊感情の高い留学生は一般的な他者に対する信頼度が高く,また,一般的な日本人学生に対する好意度の高い留学生はより多くの日本人と接触することができた。その結果,多くの日本人からソーシャル・サポートを得ることができ,日本における被受容感を高めることができた。 (2)一般的な他者に対する信頼感の高い留学生は多くの日本人と同国人からそれぞれソーシャル・サポートを得ることができたが,日本人から得られたソーシャル・サポートのみ留学生の日本における被受容感を高めることができたのに対して,同国人から得られたソーシャル・サポートは同様の効果が見られなかった。 (3)日本語能力の高い人は一般的な日本人学生に対する好意度も高く,それは彼らの日本における被受容感を高める効果が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
調査は予定より早く実施することができたため,成果発表も予定より早く公開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度と31年度は主に留学生の外集団に対する信頼感と内集団に対する安心感,ソーシャル・サポート・ネットワーク,及び異文化適応の3者間がどのような因果関係にあるのかを解明する。また,各種のメディア使用が彼らの情報行動や対人コミュニケーションにいかに影響を及ぼすのかも明らかにする。そのため,3変数の因果関係を推定できる3時点のパネル調査を実施する予定である。平成30年度は1・2時点目,平成31年度は3時点目の実施を予定する。 また,平成29年度の調査と同様に,調査結果は留学生の語学力に左右されないよう,本パネル調査も日本語版・英語版とともに,中国語・韓国語による調査票も用意し,参加者らが各自の意思で自由に選択できるようにする。
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