研究課題/領域番号 |
17K17620
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
叶 少瑜 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (00762204)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 信頼性 / 集団同一性 / ソーシャル・サポート / ストレス感 / 対面 / メディア |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,留学生の外集団に対する信頼感と内集団(留学生同士,特に文化背景が同じ人たち)に対する安心感,ソーシャル・サポート・ネットワーク(SSNs)の形成,及び異文化適応の3者間がどのような関係にあるのかを解明することである。 また,SSNsの構成(日本人・同国人・他国人),そこから得られたサポートの種類,そのネットワークのメンバーとの関係などについて,留学生の自集団に属する同一志向(以下集団同一性)との関係についても検討した。これらの関係は対面やソーシャルメディア使用によって異なるかどうかも分析を行った。 前年度で実施した2波のパネル調査で収集したデータ(有効分析対象は128名)を用いて検討した結果,以下のことを明らかにした。 (1)外集団に対する信頼性の高い留学生は日本人から多くのソーシャル・サポートが得られ,その結果ストレス感を軽減する効果が見られた。また,日本人とのSSNsも多くのソーシャル・サポートに繋がっただけでなく,信頼性は直接ストレス感への低減効果も見られた。これは対面でもメディア使用でも同様であった。 (2)集団同一性の高い留学生は多くの同言語話者とSSNsを形成し,それを介して同言語話者から多くのソーシャル・サポートが得られたが,ストレス感は低減できず,むしろ増加した。また,集団同一性の高い人が同言語話者からのソーシャル・サポートが多く,ストレス感の増加にも直接な影響を及ぼした。これは対面・メディア使用を問わず同様であった。 (3)コミュニケーション形態と関係なく,信頼性から日本人とのSSNsへの効果は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は計画通り,おおむねの研究成果が得られた。それゆえ,一部の成果をアジア社会心理学会や異文化コミュニケーション学会にて公表することができた。現在は国際ジャーナル論文を執筆・修正しており,最終的には英語論文として広く社会にフィードバックすることを目指している。
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今後の研究の推進方策 |
計画書を作成した当時は,2020年度は本プロジェクトの最終年度であるため,新しい調査を実施せず,主に研究成果の発表を行うと予定した。しかし,現在新型コロナウイルスによる感染被害が広がっている中,留学生らの不安感情と異文化適応,それに伴う対人コミュニケーション形態の変化,及びメディア使用の影響等について検討すべきと考え,2020年度はこれまでの成果を踏まえ,引き続き調査を実施する。
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