研究課題/領域番号 |
17K17620
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
叶 少瑜 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (00762204)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 対人信頼 / COVID-19 / 健康危機意識 / 情緒不安傾向 / 情報収集 / 不安解消行動 / ソーシャルサポート / 幸福感 |
研究実績の概要 |
COVID-19の拡大に伴い,留学生らがコロナ渦でどのような状況になり,COVID-19に対する認識やその関連行動,得られるソーシャルサポートがいかに異文化適応と関連するかを究明するため,2020年6月中上旬に関東地域の大学に在籍する留学生を対象にウェブ調査を実施した。 その結果,367名の回答が得られたが,回答時点で日本国外にいる留学生34名を除いて,最終的には333名を分析対象とした。調査内容は以下のものを含めた。Part A: 出身国,調査回答時の居場所,これまでの合計滞日期間,日本語学習期間,日本語力,英語力,受給している奨学金の有無と種類等について回答を求めた。Part B: COVID-19に対して不安を感じた程度とその理由;情報収集に用いた方法及び不安を解消するための行動等5件法で測定した。 また,日本語能力の欠如に由来する問題を避けるため,調査は日本語・英語・中国語(簡体字と繁体字)を用いて実施した。以下は本研究代表者が日本人学生を対象に同時期に実施した調査結果と比較する形で示す。 ①COVID-19に対して「非常に不安・不安」を感じたと回答した日本人学生は70.4%であり,留学生は74.8%であった。いずれも不安の理由よして「強い感染力」や「人に移す可能性や特効薬がないこと」が最も多くあげられた。 ②日本人学生はTwitterやテレビからCOVID-19に関する情報を多く収集したのに対して,留学生はネットの専門記事,家族から多く収集した。 ③日本人学生も留学生も,健康危機意識が高く,あまり積極的に情報収集をしない人の方が不安を解消することができた。一方,日本人学生には情緒不安傾向や社会考慮意識,情報収集の方法数による影響も見られたのに対して,留学生には同様の影響がなかったが,居住形態や奨学金の有無等による影響が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は最終年度であるため新たに調査を実施せず,研究成果の発表を計画したが,COVID-19の被害が広がっている中,①COVID-19に対する認識がいかに心身の健康と関係するのか,②COVID-19に関する情報収集のみならず,不安感情の軽減ツールとして,SNS (Social Networking Service)の使用がどのような影響もしくは効果があるのか,③これらについて日本人大学生に比べて,留学生の場合どのような類似点と相違点があるのかを究明することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は昨年度まで収集したデータに基づき,研究成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表を予定していた国際会議が延期となったため,2021年度に開催される国際会議における成果発表経費として使用する。
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