研究課題/領域番号 |
17K17622
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 基金 |
研究分野 |
環境影響評価
生態・環境
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | Ocean Acidification / Community Succession / Biodiversity / Climate Change / Meta-barcoding / Ecosystem Functioning |
研究成果の概要 |
現在の海洋中のCO2濃度は、海底生物が複雑な三次元的構造を作り出すのに適しており、それによって高い生物多様性が保たれています。一方、CO2濃度が高くなり海洋が酸性化すると、生物群の構成が変化する過程(遷移過程)の初期段階において、環境の変化が激しい場所でも多くの子孫を残す生存戦略をとる、微細藻や小型の藻類(日和見種)が増え、他の大型藻類の加入が阻害されます。そのため、生態系における種の多様性は低いままとなり、構造的な複雑性を持つことができません。構造的複雑性は、様々な生物資源を創出するなど、生態系の機能的側面を支えており、その喪失は、人類が享受する生態系サービスの劣化を意味しています。
|
自由記述の分野 |
Climate Change Marine Ecology
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
人間活動に伴い、沿岸の生態系の構造や機能が劇的に変化しています。特に、海藻の海中林やサンゴ礁がマット状の微細藻類に置き換わると、我々人類にとっての生態系の価値は著しく失われます。これから数十年で、多様で複雑性の高い環境が日和見種(短寿命で成長速度の大きな種)とされる微細藻類に置き換わるかもしれません。さらに、微細藻類が卓越すると他の生物種の加入が妨げられ、生態系の遷移が停止することも明らかとなりました。このようなフィードバックの仕組みは、様々なレベルでの環境変化に対して閾値を踏み越えた生態系の安定化を説明するものであり、沿岸生態系の価値を守るための適応戦略に組み入れることが必要です。
|