研究課題
学校へのICT 投資の望ましい水準を評価するためには、学校へのICT 投資が教育成果に与える影響を厳密に計測する必要がある。ICT 投資の決定と教育成果の決定には観察できる要因だけではなく、分析者には観察不能な要因が作用するため、自然実験の利用が必要とされる。本研究では、平成21 年度より事業化された「学校ICT 整備事業」により、交付団体と不交付団体に非連続な学校ICT 投資の差が生じたことを自然実験と見なし、学校へのICT 投資が教育成果に与える効果、学校へのICT 投資がどのような子供により影響を与えるのか明らかにする。研究目的を達成するためには、基礎自治体別のデータおよび、関連する地域データベースを整備し、それらを学校データや家計データと接合する必要がある。本年度は、分析の基礎となる基礎自治体別のパネルデータ整備に注力した。具体的には、分析の基礎となる所得、人口などに関わる地域データ、家計データおよび、基礎自治体別の財政データを収集し、整備を行った。また、学校ICT整備に関わる基礎自治体別のデータを約10年分収集し、整備を行った。自治体コードの手がかりにデータベース間を接合するために、合併などによる変更を調整し、整備を行った。これらのデータを接合することを行い、分析の基礎となる自治体ベースのパネルデータを整備した。 並行して、家計データと学力のデータに関して、利用可能性に関する調査を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、本研究課題遂行のための基礎となる自治体別のデータを可能な限り収集し、他のデータを接合し、分析可能な形に整備した。
構築したデータベースをもとに、自治体別のデータを用いた分析を開始する。また、家計側のデータについても、可能な範囲で分析を開始する。
当初の計画よりも効率的にデータ整理が実施できたために、計上していた人件費を次年度以降に使用することが可能となった。そのため、次年度では、研究推進に関しての人件費として用いつつ、国内外の学会などに積極的に参加することで、最新の研究動向を確認する。
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Keio-IES Discussion Paper Series
巻: DP2017-026 ページ: 1 - 23