研究実績の概要 |
胸椎及び腰椎の骨棘形成を主体とする加齢性変化のCT画像観察による年齢推定について検討した。各椎体の上下面の観察の際にはそれぞれの面に並行な断面を再構成して観察し、矢状断及び冠状断での観察では椎体下面を軸位断としてこれに垂直な平面を再構成し、適宜スライスを前後させて観察した。予備的検討として男女各30例について下位胸椎から上位腰椎の以下パラメーターを観察した。 【椎体上下面】前後径(mm)、最大左右径(mm)、最大骨棘長(mm)及び椎体辺縁における骨棘形成の割合(なし=0, 全体の1/4未満=1, 全体の1/4以上、1/2未満=2, 全体の1/2以上、3/4未満=3, 全体の3/4以上=4)、【椎体冠状断】椎体上下面の最大左右径(mm)、椎体最短左右径(mm)、椎体の左右端における上下椎体との骨棘によるbridgingの程度(なし=0, 開始=1, 完成=2)、【矢状断】椎体上下面の最大前後径(mm)、最短前後径(mm)、椎体前方・中央・後方におけるそれぞれの上下径(mm)、椎体前方における上下椎体とのbridgingの程度(なし=0, 開始=1, 完成=2)。また、椎体上下面での前後径と左右径の比、椎体前後径及び左右径それぞれの上面、最短、下面の比、骨棘長と椎体辺縁における骨棘形成の割合の積を計算し、年齢との相関を検討した。 検討の結果、最大骨棘長に比較的強い相関関係が認められたため、観察範囲を拡大し全胸腰椎について男性60例(平均53歳 、標準偏差22歳)、女性58例(平均56歳、標準偏差24歳)について観察した。各椎体の骨棘長の和を説明変数とし、年齢と単回帰分析を行った結果、男性ではy = 1.6654x - 38.544 (R2=0.7761)、女性でy = 1.368x - 32.701 (R2=0.8038)の結果が得られ、年齢推定への応用可能性が示唆された。
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