研究課題
【目的】院内非外傷死の患者に横断的に死後CTと解剖を施行し、死後肺CT所見と死後経過時間との関係、病理学的な肺炎・肺水腫の有無の予測に有用な死後肺CT 所見を検討する。 【方法】当大学病院で治療後に死亡した104人の非外傷死患者の病理解剖施行直前に全身の死後CTを撮像した。臨床情報、病理所見を盲検化した状態で3名の放射 線科診断専門医が死後CTを13の肺画像所見について評価を行った。画像所見と死後経過時間や病理組織学的肺所見(異常なし・肺炎・肺水腫)との関係や診断能 について傾向検定、回帰分析を行った。 【結果】死後経過時間とともに死後CT所見では水平面形成を伴う陰影、びまん性の浸潤影・すりガラス影、びまん性の気管支壁肥厚、対側と対称な陰影が増加 し、区域性の浸潤影・すりガラス影は減少した。病理組織学的な肺炎を予測する肺CT所見は、水平面形成を伴わない陰影と小葉中心性粒状影・結節影の存在、び まん性の気管支壁肥厚がないことが、有意であった。病理組織学的な肺水腫を予測する肺CT所見は、水平面形成を伴う陰影、びまん性の浸潤影・すりガラス影、 小葉間隔壁肥厚の存在が、有意であった。 【結論】肺の死後CTでは、上記に示したいくつかの画像所見が、死後時間経過とともに出現する。また、肺炎や肺水腫に特徴的な死後CT所見が、存在することを 明らかにした。 【成果発表】①死後画像診断学各論:肺. 大阪大学院医学系研究科修士課程; ②査読付き国際誌へ英語論文投稿中;③学会発表済。その他、肺動静脈の死後変化、肝臓の死後変化、腹水の死後変化などの研究が進行中。
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Journal of Forensic Radiology and Imaging
巻: 16 ページ: 1~4
https://doi.org/10.1016/j.jofri.2018.12.003
http://www.ut-radiology.umin.jp/division/autopsy.html