平成29(2017)年度には、8月末から9月上旬にかけて約2週間、インドネシア・西ジャワ州の調査対象地域に滞在し、全住民を対象として基礎情報の更新、食物摂取パターンに関する半構造化インタビューおよび直接観察をおこなった。食事摂取について、個食である頻度が高いことが明らかとなり、また、食事を摂るための空間がない家屋の構造との関連性が示唆された。 平成30(2018)年度には、9月上旬の2週間、前年度と同じ村落に滞在し調査を実施した。具体的な内容は、全住民の基礎情報の更新、個人歴(生地、転居歴、学歴、婚姻歴、同居者など)と各時点での食物摂取に関する情報の聞き取り、村落周辺に自生する可食植物の採集・同定などである。約45種類の可食植物が採集されたほか、雨季にはこれらに加えてキノコ類が採集されるという。個人歴と食物摂取に関する聞き取りでは、経済的に大きく発展し、現金経済が浸透した期間であったにも関わらず、頻繁に摂取する食物や食嗜好に大きな変化が見受けられない点が印象的であった。また、一部の住民に対して約35の食品名を挙げ、健康的であるか否かを尋ねたところ、年代によって異なる回答傾向がみられた。 平成31(2019)年度にも同様に9月上旬に同村落にて現地調査を実施した。基礎情報の更新に加えて、5歳未満児を対象に実施されている身体計測(Posyandu)の記録を過去に遡って入手した。この記録から、児が離乳するタイミング以降、低栄養(Weight-for-age、Height-for-ageなどが低い状態)である割合が増える傾向が示された。 令和2(2020)年度以降、本研究は基盤研究(C)として発展的に継続される。
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