研究実績の概要 |
本研究では、これまでの日本における科学コミュニケーションの担い手としての科学技術系人材像の変遷とその育成の政策的展開のダイナミクスを、科学技術白書の定量的・定性的分析, 及び言説間相互の関係性の精査により明らかにする。 これにより、日本の科学コミュニケーション政策が抱える構造的な課題を明らかにすることを目指す。 2020年度は、前年度に引き続き、 高等教育政策や科学技術イノベーション政策、人材育成政策にかかわってきた関係者へのヒアリング(「③関連政策担当者や国内外のキーパーソンへのインタビュー調査」)を行うと共に、関連する審議会資料や科学技術政策と高等教育政策、とりわけ大学院教育政策との関係性についての議論の特徴と経緯の整理・検討を行った。 その結果、科学技術イノベーション政策の文脈で推進されてきた科学コミュニケーション政策に対して、科学コミュニケーションを担う研究人材に対するスキル教育は大学院教育政策のなかで幅広く推進されるには至っていないという政策上のギャップがあることが明らかとなった。この研究の成果が、原著論文として国際査読誌に掲載された。 加えて、科学コミュニケーション人材の議論は、その他の研究支援に関わる「専門職」をめぐる議論と密接に関わってくることから、大学の研究活動/機能を支える研究関連実務者の「専門性」やそれらを担う人材のキャリアパスをめぐる課題という枠組みでの政策評価が必要だと判断し、科学コミュニケーションに限定しない科学技術系の研究支援人材に関わる各種ファンディング事業の成果がどのような観点で評価されているのかのメタ分析を行った。
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