研究課題
本研究では、コンピュータ支援検出(CAD)における病変候補の提示方法を最適化することで、CADの臨床における実効性能を最大化することを目的としている。コンピュータ支援検出のアルゴリズムは高度化しており、単体では高い検出性能があると思われるソフトウェアが多数発表されているが、実際に人間が読影を行うにおいては、「CADが真病変を提示したにも関わらず、それを利用して読影を行う放射線科医の意見が変わらない」ということがしばしば観察される。CADの病変提示における効率性を向上することで、放射線科医の見逃しをより多く防止することができるという仮説を検証するため、ボリュームレンダリング(VR)画像による病変結果提示がCADを利用する放射線科医の見逃し防止に与える影響を検証する研究計画を立案した。2018年度までに、ブラウザ上で任意断面再構成(MPR)に加えてVR画像をリアルタイムに生成して表示するための機能について新規の開発を行い、その成果は本年度に日本医学放射線学会(2018年4月開催; 実機展示)や人工知能応用医用画像研究会(2018年6月)にて発表した。今年度は、まず開発したシステムについての技術論文が受理された。また、前述の仮説を検証するために放射線科医6人の協力を得て読影実験を行い、仮説通りにVRを用いることで放射線科医は病変の可能性により高頻度に気づくことができることを示した。成果は電子情報研究会・日本医用画像人工知能研究会合同研究会(2019年11月)にて発表された。同成果について、現在論文投稿中である。今年度の補助金は、主に学会参加費用・旅費、論文投稿準備に関する英文校閲などの費用、研究開発に用いるコンピュータハードウェア等の購入費用として充当された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery
巻: 15 ページ: 661~672
10.1007/s11548-020-02132-z