本年度から同志社大学文学部に所属することとなり、新しい環境の下で研究活動を開始した。最終年度となる2019年度の研究業績は以下3点にまとめられる。 1、昨年度に引き続き学術論文の改稿および再投稿を続けた。この論文では、広西省で発生した壬寅奇災とアメリカによる救済活動の関係を主として扱っている。最終年度内は査読者の意見を参考にしつつ、論文の手直しを行った。この結果、年度が改まった2020年4月に正式採用の通知を得た。 2、2019年12月に京都大学附属現代中国研究センター共同研究班にて、広西省で発生した壬寅奇災と英領香港による災害救済の関係性について報告を行った。コメンテーターや研究班員を交えて、様々な角度から意見を交わすことができた。 3、現在進めている研究の概要を「宣教師マクニュールと壬寅奇災」と題して、明治学院大学キリスト教研究所発行のニュースレター『あんげろす』(第79号、2019年7月)に寄稿した。広東省で活動していた宣教師マクニュールが残した英語資料をもとに、広東省の宣教師がどのように広西省の災害救済にかかわったのか、今後の研究の見取り図を描いた。 現在の社会情勢を考慮すれば、今後の研究活動を展望できる環境にないものの、少なくとも2つの視点から研究を進めたいと考えている。一つは、2で紹介した英領香港の災害救済の実態について、外交文書の渉猟に努めることである。もう一つは、3で紹介したように、宣教師の個人文書などを通じてよりミクロなレベルで災害救済の実態を描写することである。なお、こうした研究活動以外に、私が受け持つ大学の教育現場でも本研究課題に関連する最新の研究動向を発信するように努めた。
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