研究課題/領域番号 |
17K17668
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
澤井 賢一 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (10754715)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 時間知覚 / ベイズモデル / 視聴覚情報統合 |
研究実績の概要 |
本研究は,リズムパターンに対するカテゴリー知覚現象を通して,脳が知覚情報に意味づけする仕組みを調べることを主な目的としている.今年度は,時間パターンを音と光で同時に提示した際に生じる知覚について,実験すべき刺激パターンの探索と,シミュレーションによる現象予測を行った. 今年度は,昨年度にArduino を用いて作成した刺激提示装置による刺激の観察を引き続き行った.過去に行った数理モデル研究や先行研究の知見から,人の知覚は時間的に近い複数の刺激を同一の発生源から発生したととらえるバイアスがあると推察される.それは,日常的に感覚器が受け取る刺激は同一源であることが統計的に多いことを神経系が学習した結果とみなすことができる.そのことを踏まえ,イレギュラーな知覚状況を作り出して錯覚的な現象が現れることを期待し,光と音の刺激のタイミングを一部大きくずらし,光と音が同一源ととらえがたい刺激を選んで観察した.また,観察内容とシミュレーションの結果との照合も行った.今後は,これらの結果と知覚心理学の先行研究を元に,調べるべき現象をさらに絞り込む.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度から,研究推進を目指して当初の研究計画を変更したが,学会等で発表するまでには至っていない.当初の計画との単純な比較は難しいが,成果が形になっていないという点から,やや遅れていると判断した.昨年度から所属が変わり,研究環境の整備が新型コロナウイルス感染拡大により遅れたことも影響している.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの観察内容を,心理実験で検証することを基本的に目指す.しかし,新型コロナウイルス感染拡大の影響で実験を確実に行えるかは不明であることを踏まえ,成果を何らかの形で出版することに重点を置きつつ研究を進める.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた出張などが新型コロナウイルス感染拡大の影響で行われなかったため.今年度も旅費の使用は見込めないため,実験環境の整備か論文投稿料として使用する予定である.
|