研究課題/領域番号 |
17K17684
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
深山 理 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (30508205)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ブレイン・マシンインタフェース / 神経信号計測 / 脳深部刺激 / 歩行動作 |
研究実績の概要 |
本研究は、電極プローブを頭蓋下の広い範囲に分散配置し、感覚・運動に関わる神経活動を横断的に収集することによって、脳内に存在する任意の感覚・運動に関する情報の抽出を目指すものである。この目的のため、前任にあった2019年12月までにラット脳を対象とする計測・刺激を実現するための要素技術を開発し、さらにこれらを統合してラットを併走ないし搭載して全方位移動型ロボットを動作させる実験を実施した。また、要素技術の開発から派生した「自発的だが統制された歩行動作を誘発」する動物実験の手法として発展が見込まれ、本研究計画の目的への寄与も期待できることから、引き続き試行を重ねるとともに詳細な検討を加えてきた。 現職に就いた2020年1月以降は新たな動物実験を行わず、前年度までに実施した実験結果の整理を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため出張機会が限られ、前任地に残された実験系の条件確認やデータ回収、また研究協力者との調整を十分に行うことができず、これらについて先送りすることとなった。一方、上記の実験結果を構成する、多点電極プローブによって得られた神経活動情報を解析するため、限られた観測情報から確率分布の全体像を描出しうるガウス過程に着目し、これを応用した脳情報のデコーディング手法の開発を行った。まず感覚入力情報と脳活動との関係を記述に用いることから始め、続いて運動情報と脳活動の関係や、運動パタンのモデリングにも応用を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大防止のため出張機会が限られ、前任地に残された実験系の条件確認やデータ回収、また研究協力者との調整を十分に行うことができず、当初、今年度に計画していた内容は大幅に先送りすることとなった。一方、解析手法については新たな視点の手法を導入するなど、一定の進展を見ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
脳に対する微小電気刺激を介した情報入力、運動皮質活動、随意運動の記録セットを対象とした解析を中心として研究を行う。また、脳深部への電気刺激による「自発的だが統制された歩行動作の誘発」手法についても、早期の成果とりまとめを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に完成予定であった論文執筆がずれこんだため、年度内に発生することを見込んでいた英文校正費用、投稿費用が発生しなかった。これについては完成次第、前記の通り当初方針に沿って使用する。また本研究推進のため予定していた打ち合わせおよび成果発表の多くが新型コロナ禍の影響で中止となったため、その費用についても未使用となった。今後、可能な範囲で当初計画していた出張を実施するが、特に国際会議について引き続き出張参加できない可能性があり、該当費用は代替となる論文化の経費として使用する。
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