研究課題
ヒトへルペスウイルス(HHV)は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)やEpstein Barrウイルス(EBV)を含むウイルスの一科であるが、ウイルスに対するヒトの免疫応答の詳細は不明である。本研究ではHHVに対して易感染性を有する原発性免疫不全症(PID)を同定して解析することで、HHVに対する免疫応答の解明を試みた。EBV陽性悪性腫瘍の合併が報告されているPIDに対して、HHV血症の有無を調査した。CTLA4欠損症ではコントロールと比較してEBV血症の頻度が高い一方で、他のHHV血症の頻度に差を認めなかった。CTLA4欠損症はT細胞の免疫老化と関連しているが、これは特にEBVに対する免疫応答に影響を与えることが示唆された。また、EBV関連悪性腫症の既往のある患者3家系5例、重症水痘/帯状疱疹や反復水痘の既往のある患者3家系3例(うち1例はEBV関連悪性腫瘍と重複)において、エクソーム解析を行った。それぞれ、ZAP70、SAP、IL2RG遺伝子およびPOLR3F、MSN、IL2RG遺伝子における変異を同定した。これらの変異によって、蛋白発現が欠損あるいは、機能低下が生じていることを証明した。SAP変異のある1家系3例は既報のSAP欠損症と比較して軽症であったが、T細胞の約10%にリバータントを検出した。EBVに対する免疫応答にはT細胞の活性化に加えてSLAMR-SAP経路が重要であるという知見に加えて、将来的には遺伝子治療あるいは養子免疫療法によってT細胞の10%以上を補正すれば、その有効性が期待できる可能性を示唆している。VZVに対する免疫応答にはRNAポリメラーゼIIIによる感知が重要であること、リンパ球においてはサイトカインに対するSTATリン酸化による通常のT細胞活性化以外にも、Moesinが関与する経路の重要性が示唆された。
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