研究実績の概要 |
2019年度の本研究の目的は、血糖変動と酸化ストレスとの関連について明らかにすることであり、持続血糖測定を行った2型糖尿病入院患者32名の尿中8-iso-Prostaglandin F2α(8-iso-PGF2α)をELISA法で測定した。患者のDay2→8での血糖変動、尿中8-iso-PGF2αの変化を調べたところ、Day2→8では24時間の平均血糖(MBG)は182±52 → 137±26mg/dl, p<0.001, 血糖標準偏差(SDBG)は 44.1±14.2→31.8±15.2mg/dl, p=0.016にそれぞれ有意に改善した。8-iso-PGF2αは20名が低下(121[62-896]→92[51-804]ng/gCre, p<0.001、改善群とした)、12名が上昇した(74[34-474]→103[72-673]ng/gCre, p=0.002、非改善群とした)。改善群は非改善群に比べ、MBG(Day2) が有意に低く(169±50 vs 210±46 mg/dl, p=0.034), SDBG(Day2)が低い傾向があった(40.3±14.1 mg/dl vs 49.7±12.5 mg/dl, p=0.078)。Day8ではMBG・SDBGともに両群間に有意な差はなかった。8-iso-PGF2αの変化率(Day8/Day2)はMBG(Day2)と正の相関(Spearman’s ρ=0.362, p<0.05)を認めた。現時点では酸化ストレスマーカー改善群、非改善群において治療後Day8のMBG・SDBGともに両群間に有意な差はなかったが、治療前Day2では非改善群でMBG、SDBGが高かったため、糖毒性が酸化ストレスの改善を妨げた可能性が示唆されている。来年度以降も症例を追加していく予定である。
|