研究課題/領域番号 |
17K17696
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
赤座 実穂 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00769672)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 血糖変動 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
2021年度は2型糖尿病入院患者の尿中8-isoProstaglandin F2α(8-iso-PGF2α)をELISA法で新たに14名測定した。また、2020年度までに尿中8-iso-PGF2α測定した45名の患者において血糖変動改善により、酸化ストレスが改善するかを評価した。入院2日目(Day2)のMAGEは尿中8-iso-PGF2αと有意な正の相関を認めた(r=0.34, p=0.021)。Day2のDATAで、8-iso PGF2αを従属変数とした重回帰分析の結果より、血糖変動は年齢・BMI・腎機能とは独立した酸化ストレスに影響する因子と考えられた。Day2とDay8の比較ではMAGE は88.1±35.3→67.2±30.0 mg/dl (p<0.0001)と有意に改善したが、尿中8-iso-PGF2αは871±435→816±589 ng/day (p=0.43) と有意な変化はなかった。MAGE(day2)を中央値で2群にわけHigh GV群(>81.6 n=23)、Low GV群(<81.6 n=22)とし解析するとDay2と8で、MAGEはHGV群 114.1±29.9→73.6±33.5(p<0.0001)、LGV群 60.9±12.6→60.5±24.9(p=0.92)とHGV群のみ有意に改善した。尿中8-iso-PGF2αはDay2 HGV群 995±424, LGV群 742±416でHGV群が高い傾向 (p=0.05)であり、Day8ではHGV 914±706 ng/day、LGV群 712±424 ng/dayとなり両群ともにDay2より低下したが有意差はなかった(p=0.50、p=0.69)。現時点では血糖変動の酸化ストレスへの影響が示唆されるが、短期の効果は認めず、さらに長期間の影響についての検討を行う必要があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年、2018年度は持続血糖モニターをもちいて評価した血糖変動と末梢神経伝導検査による末梢神経障害の程度との関連を検討し、血糖変動が高いほど、内側足底神経障害の程度が強く、血糖変動が糖尿病性ニューロパチーの進行に影響する可能性を見いだした。論文を執筆し Diabetol Metab Syndr. 2018 Sep12;10:69.に掲載された。 血糖変動が糖尿病合併症進行させる機序として酸化ストレスの関与が疑われており、2019年度以降は酸化ストレスのマーカーとして尿中8-iso-PGF2αの測定を追加し、血糖変動と酸化ストレスとの関連の検討を順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
尿中8-isoProstaglandin F2α(8-iso-PGF2α)をELISA法の測定を続け、血糖変動と 酸化ストレスとの関連を検討していく。 研究期間が5年となっており、長期フォローの患者数も増してきているため、血糖変動の短期間の効果のみでなく長期間の影響も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年4月以降の入院症例はCOVID19感染が完全には否定できないため尿検体測定を一時中断する必要があり、2020年度までは目標の80例に届かなかった。2021年4月より、入院患者のCOVID19のPCR検査が実施されるようになったため、感染リスクのない尿検体にて検査可能となり2021年14件を追加できた。現在、59例検査済みであり、2022年度も継続すれば、目標の80症例に達すると思われる。
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