研究実績の概要 |
2022年度は2型糖尿病入院患者の尿中8-isoProstaglandin F2α(8-iso-PGF2α)をELISA法で新たに12名測定した。尿中8-iso-PGF2α測定し、かつ臨床情報が入手可能であった63名の患者において血糖変動改善により、酸化ストレスが改善するかを評価した。Day2→8でMAGE(105.4±48.5→76.8±36.3mg/dl, p<0.0001)は有意に低下した。8PGF2αは(906±660→854±596 ng/day, p=0.51)と有意差はなかった。単相関解析で8PGF2αはMAGE(r=0.18, p=0.43)と有意な正の相関を認めた。 さらに、MAGE(day2)を中央値で2群にわけHigh GV群(>90 n=30)、Low GV群(≦90 n=33)とし解析するとDay2と8で、MAGE はHGV群 146.9±37.3→96.2±39.5(p<0.0001)、LGV群 67.7±15.1→59.2±21.7(p=0.043)といずれも有意に改善したが、HGVの方が低下度は大きかった。尿中8-iso-PGF2αはDay2 HGV群 1011± 845, LGV群 810±422でHGV群が高い傾向 (p=0.065)であり、Day8ではHGV 887±695 ng/day、LGV群 824±498 ng/dayとなり両群ともにDay2より低下したが有意差 はなかった(HGV群: p=0.37、LGV群p=0.87)。以上の結果より、入院時のMAGEと8PGF2αに有意な正の相関があることは、血糖変動が酸化ストレス増大に影響している可能性が示唆される。また、血糖変動が大きい群では、入院加療により血糖変動を改善させることにより、酸化ストレスが低下する可能性が示唆された。
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