研究実績の概要 |
本年度はこれまでの研究から得られた知見を反映させた教材を作成しつつ、poner, dar, echar, meter, といった譲渡や付加を表す三項動詞と抽象名詞のコロケーションを重点的な研究テーマとした。Poner と dar は特に、抽象名詞とのコロケーション上の相性がいいこと、それぞれが異なるタイプの名詞と共起すること、すなわち機能、コロケーション上のすみわけがあることを報告した。この研究は日本イスパニヤ学会で発表したのち、論文に取りまとめ、雑誌、Hispanica に投稿した。 また、研究機関中に、作成した教材のプロトタイプを用いて授業を行ったところ、全体的に脱意味化用法は学習者にとって困難であることがわかった。そこで脱意味化現象とこの現象に関する様々な先行研究をスペイン語教育という観点から捉えなおすという試みを行い、スペイン国立ハエン大学で開催された学会、INLEXICO 2021 にて発表を行った。脱意味化とは動詞が事象名詞等の叙述性の高い補語と共起した際にその意味の大半を失う現象をさす。軽動詞や疑似連結動詞等の用法は脱意味化用法の結果と考えられる。 発表は高く評価され、研究を学会プロシーディングスではなく、フルペーパーとしてジャーナル、RILEX に投稿するとの提案を受けた。 前年度に投稿していた、疑似連結動詞としての ir の研究、並びに軽動詞 echar に関する研究が条件付き採択となり、その修正作業や再検討も行った。最終的にいずれも採択されることとなった。
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