後方視的/前方視的な2つのアプローチから検討を行った。 ―研究1:後方視的アプローチ 主に障害児・者の発達支援専門職における連携Competencyを明らかにし、それらを獲得するに至る経験や学びの過程を分析する。連携Competencyの定義を「個人が持つ潜在能力と、その個人が環境へ働きかけて自らを発揮させる態度」としながら、促進要因としての社会的環境・セッティング事象も同時に抽出する。これまでに①PAC分析を用いて連携熟達者の個人的な連携Competency獲得に至る認識構造を調べ、②テキストマイニングを用いて職種を超える共通Competencyと影響を与える経験を明らかにしてきた。結果として、連携Competencyの学びの過程には、職種を超えた普遍的な発達の知識を深め、関係調整役を担う経験を持ち、具体的な水準かつ自覚的に連携行動を認識・実践することが必要であると分かった。さらに促進要因として体系的な学びの場や機会があることに加え、近接領域専門職が集うコミュニティとソーシャルキャピタル、個人の学習スタイルの確立が不可欠であると示唆された。 ―研究2:前方視的アプローチ 研究1から、多職種とともに学び方の学びができる場と機会の提供が多職種連携教育;IPEに必要であると考えられた。これまでに①連携初学者(養成段階)、②現職者をそれぞれ対象とした2つのIPEモデルプログラムの創出を目指した。①では障害や発達支援に関する体系的学習を基盤としたプログラムを、②ではより多くの職種間の同質性と異質性を体験的に学ぶ機会を設け、各自のCompetencyを発揮できるプログラムを想定した。またより臨床的な多職種連携協働;IPWに見合うコストパフォーマンスも検討に含めた。エコロジカルマップ作成やアリーナアセスメントを応用した専門職の役割解放を促すコンテンツに有効性が示唆された。
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