研究課題
若手研究(B)
国家権力の分裂的契機と統合的契機とが錯綜する鎌倉時代の国家像をめぐっては、権門体制論と東国国家論という二大学説が存在する。本研究では、鎌倉後期の法制史研究で言及されてきた文書史料に見える公家武家並列文言とその類似表現に注目し、再検討を行った。そして、鎌倉前中期の用例、法制に限らない用例、文書史料以外の用例などを広く分析の俎上にあげることで、先行諸学説の問題点を明らかにするとともに、鎌倉時代国家像を再構築していくための新たな観点を考究した。
日本中世史
近代国家の成立を前史からの歴史的文脈の中で追究することは、人文社会科学の古くて新しい命題である。日本の国家史をめぐっては、前代より京都に存した朝廷に対し、新たに鎌倉に幕府が成立したことで、2つの卓越した政治権力が日本列島上に出現した鎌倉時代の国家像の解明が重要なポイントとなる。本研究では公家武家並列文言の再検討を通じて、権能の分掌や地域間の分立とは異なる観点から、当該期の国家像を描出した。