研究課題
若手研究(B)
本研究課題では繊毛運動不全症の原因と考えられているDpcd遺伝子の機能を明らかにした。遺伝子改変マウスと精製蛋白質を用いた試験管内の実験からDpcdは繊毛細胞表層のアクチン束ネットワークを形成する事とこのアクチン束ネットワークが繊毛の成熟に必要である事を明らかにした。さらにDpcdがレドックス環境に応じて活性を変化させる性質を持つ事を見出した。アクチン束ネットワークが具体的にどのような役割を担い繊毛を成熟させるかについては今後の研究により追及していく必要がある。
細胞生物学
本研究課題の成果により劣性の遺伝子性疾患である原発性繊毛運動不全症の発症メカニズムの一端が明らかとなった。まだ根本的な治療法のない疾患への治療戦略を考える上で情報を提供する。また、まだ未解明の事が多い繊毛の生物学、特に細胞骨格と繊毛の関係性を考えていく上で本研究成果は新しい知見をもたらし今後のこの分野の方向性(アクチン骨格と繊毛)に繋がる可能性がある。