研究課題/領域番号 |
17K17704
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
池上 貴志 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70534460)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / 風力発電 / 平滑化効果 / 電力工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、風車位置の面的な広がりによる平滑化効果を考慮した風力発電出力変動量の推計手法を開発を目指し、全国74ヶ所の風力発電所の発電出力データに基づく現況分析を行う。複数の風力発電所の出力変動を合成することによる平滑化効果を定量的に評価し、それを用いて政府の導入シナリオによる今後の風力発電所の導入位置も考慮した発電出力変動量の推計を行う。 平成29年度は、風力発電所ごとの発電出力データを、中心化移動平均フィルタを用いて、ガバナーフリー(GF)領域、負荷周波数制御(LFC)領域、経済負荷配分制御(EDC)領域、それ以外の長周期成分に分割することで出力変動量を定量化する手法を提案し、研究論文にまとめ、成果発表を行った。この出力変動量の定量化手法を用いて、風力発電所ごとにGF、LFC、EDCの各領域の出力成分を抽出し、変動量の大きさに対する出現確率分布を算出した。変動量の標準偏差だけでなく、出力変動量の上位0.1、1、99、99.9パーセンタイル値を求め、これを出力変動量の定量化指標とした。平滑化効果を定量化するため、北海道、東北、北陸、中国、四国、および九州電力管内ごとに、複数の風力発電所の出力を組み合わせ、同様に変動量の出現確率分布および各パーセンタイル値を求め、組み合わせた風力発電所の合計定格出力に対するパーセンタイル値の関係性の近似曲線を求めた。この平滑化効果の定量化により、平滑化の程度を比較できるようになり、地域差や季節による違いの分析ができるようになった。これらの結果の一部を国際会議にて発表した。 長周期の出力変動量の推計に向けて、東北地域の2012年度のデータを対象として、風力発電所出力間の相互相関係数と位置関係を算出し、次年度以降の研究である将来の出力変動量推計に役立つ情報を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究実施計画における内容について予定通りの進捗であり、一部については次年度の研究内容に着手している。平滑化効果の定量化に関する論文については、作成を進めている段階であり、早急に進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、北海道、東北地域を対象とした平滑化効果を考慮した出力変動量推計手法の検討と、推計手法の妥当性検証、さらに2030年の風力発電導入量、導入場所を想定した将来の出力変動量の推計を行う予定である。これまで行ってきた風力発電所出力間の相互相関係数と位置関係から出力変動量の長周期成分の推計手法を構築し、推計精度の検証を行うことで、手法の改良を図る。
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