• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

水の添加によって熱音響エンジンの臨界温度が低下するメカニズムの解明とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K17705
研究機関東京農工大学

研究代表者

上田 祐樹  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00447509)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード熱音響現象 / 相変化 / 音の伝ぱ
研究実績の概要

本研究では熱音響エンジンの稼働温度を通常の数100℃から数10℃に低下できる湿分の添加効果のメカニズムを解明することを目的としている。平成29年度には、まず、熱音響エンジン内に比べて単純な系として、音波の伝ぱに湿分がどのように影響を与えるのかについて実験・理論的に研究した。次に、熱音響エンジン内に湿分を添加し、その効果も調べた。以下に簡単に実験の概要を記す。
共鳴管内にCHを設置し、その内部で消費されるエネルギーを測定した。その際、CHを濡らした場合(wet状態)と、乾かした場合(dry状態)の2通りの実験を行った。実験の結果、速度変動に伴う散逸はwet状態とdry状態でほとんど変化しなかったのに対して、圧力変動に伴う散逸はwet状態のほうがdry状態に比べて大きくなることが分かった。また、その差は共鳴管内の温度が水の沸点に近づくほど上昇し、最大で1.7倍であった。実験の状況から判断して、湿分の蒸発・凝縮が散逸の上昇に寄与していることが分かった。
上記のような実験と同様の状況をRaspetにより提案された理論を用いて数値計算した。数値計算の結果と実験結果の定量的な一致が確認できた。
次に、湿分が添加できるように熱音響エンジンを作成し、稼働温度がどのように変化するか調べた。熱音響エンジンとしては、これまでに開発されている3つのタイプを作成した。すべてのタイプで、稼働温度の低下が確認でき、最大で600℃の低下が実現できることが分かった。さらに実験結果から熱音響エンジン内で流体が経験する熱力学サイクルの定性的理解ができることが分かった。また、Raspet理論(拡張版)を用いて、稼働温度の低下が再現できるかの確認を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に記した2つの項目「臨界温度の実験と数値計算の比較」および「熱力学サイクルの同定」がほぼ達成されており、さらに平成30年度に計画していた「水を添加した熱音響エンジンの効率測定と予測」の準備も進んでいるため。

今後の研究の推進方策

平成30年度は実験および数値計算を用いて湿分添加型熱音響エンジンの効率評価を行う。また、数値計算を用いてその最適化を行い、通常の熱音響エンジンとの性能比較を行う。

次年度使用額が生じた理由

熱音響エンジンの制作を現有の材料を使用し(外注せずに)自ら工作機械を動かして行ったため。次年度使用額は実験に必要な消耗品および外国旅費に利用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Numerical Calculation of the Performance of a Thermoacoustic System with Engine and Cooler Stacks in a Looped Tube2017

    • 著者名/発表者名
      Farikhah Irna、Ueda Yuki
    • 雑誌名

      Applied Sciences

      巻: 7 ページ: 672~672

    • DOI

      10.3390/app7070672

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 線形音響理論を用いた熱音響現象の数値計算2018

    • 著者名/発表者名
      上田祐樹
    • 学会等名
      日本応用物理学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 濡れた管壁が音波の減衰に与える影響2017

    • 著者名/発表者名
      小倉直之
    • 学会等名
      日本流体力学会
  • [学会発表] THE MARGINAL CONDITION FOR THE ONSET OF THERMOACOUSTIC OSCILLATIONS OF A GAS IN A TUBE HAVING A WET WALL POROUS MEDIUM2017

    • 著者名/発表者名
      上田祐樹
    • 学会等名
      International Congress on Sound and Vibration
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi