研究実績の概要 |
昨年度の資料調査をふまえて、今年度は近代フランス音楽のカノン作曲家19名について、音楽史書記述の精読と音楽史書データベース作成に向けた準備作業を行った。音楽史書に関しては、通史とフランス音楽史に限っても100件以上あるため、重点的に読む文献として、分量的・質的に重要であると判断される以下の文献を選抜し、これらの記述内容の読解を主軸としながら、その他の音楽し記述の傾向を比較参照することとした。 Lavoix(1891), Woollett(1909-1925), Landormy(1910), Combarieu(1913),Combarieu, Dumesnil(1955-1960), Roland-Manuel(1960-1963), Chailley(1967-1990),Massin(1983) また、音楽史記述の背景をふまえて分析・考察を行うために、フランス音楽学の歴史に関する先行研究や、歴史・文学史・演劇史・美術史などの主要文献を読み進めた。 今年度は文献読解に専念したため、研究成果の発表は私的な勉強会や研究会の範囲にとどまったが、来年度の研究成果報告書出版に備えて、論の構成に関する検討を進めた。カノン作曲家19名については、個々の記述内容をまとめるだけでは羅列的になってしまうため、以下のグループに分けることで、記述内容の相対的な比較も行いながら論じる予定である。 ①オペラ作曲家(グノー、マスネ、ビゼー他)、②交響曲作曲家(サン=サーンス、フランク、ダンディおよびフランク楽派他)、③フォーレ、ドビュッシー、ラヴェル、④サティと六人組 このグループ分けのもと、カノン作曲家としての要件について、Weber(1999)および成田の仮説(2016b)に基づき、分析・考察を進めている。
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