研究課題/領域番号 |
17K17707
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
成田 麗奈 東京藝術大学, 音楽学部, 助手 (30610282)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 近代フランス音楽 / カノン / 音楽史記述 |
研究実績の概要 |
当該年度は、本来であれば研究機関最終年度であったため、科研費報告書作成に向けて、資料の整理と報告書執筆にあたった。「作曲家のカノン(規範)」の要件には個人差があるため、カノンとして挙げた23名の音楽史書における個別の評価を扱うのではなく、それぞれの記述に認められたカノンの要件に関して、成田(2017b)の仮説をもとに、オペラ作曲家、交響曲作曲家、フランク楽派、フォーレ・ドビュッシー・ラヴェル、サティと六人組の4郡に分け、それぞれに見られる音楽史記述の特徴、共通してみられる特徴、個別に考慮すべき特徴について分析・考察を進めた。これらをもとに、成田(2017b)の仮説を検証し、より妥当な説を提示する。 報告書作成にあたり、4郡に関する音楽史記述の特徴に関する論考に加えて、音楽史記述の前提となる、フランスで刊行された音楽史書の歴史に関して、成田(2015)を元に、最新の研究成果をふまえて加筆したものを所収することとした。また、音楽史書の概要を把握するための手掛かりとして、各音楽史書の目次一覧も資料として付すこととした。カノン作曲家に言及されているページのインデックスや主要な記述の引用集に関しては、時間の都合上、今後の課題とすることとしたが、将来的にはオンラインのデータベースとして公開することを目指している。 上記に関して執筆・編集作業を進めていたが、新型コロナの影響で大学図書館・公共図書館等の利用ができない、もしくは制限されていたため、執筆・編集の際に必要な裏付けや補足が不可能となったため、やむなく研究期間を延長することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響で大学図書館・公共図書館等の利用ができない、もしくは制限されていたため、科研費報告書執筆・編集の際に必要な裏付けや補足が不可能となったため、やむなく研究期間を延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を一年間延長せざるを得なかったことにより、当初の研究計画よりは研究時間を増加できることになる。依然として大学図書館や公共図書館等の利用には制約を伴うため、本来目指していた内容の理想型に到達することができるかは未知数であるが、在宅研究でも可能なこととして、一次資料の精査とデータベース化に力を入れたい。報告書の本文に関しても、当初は要点のみを取り上げて論じる予定であったが、付録として掲載する資料を増やすことにより、より具体的な裏付けのもとに論じるなど、単なる進捗の遅れとならないように、より充実した研究成果を発表できるよう努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響で大学図書館・公共図書館等の利用ができない、もしくは制限されていたため、科研費報告書執筆・編集の際に必要な裏付けや補足が不可能となったため、やむなく研究期間を延長することとした。 残額は、当初は科研費報告書編集・出版のための費用であったが、次年度も引き続きコロナ禍による図書館利用の制限があることから、一部を資料購入の物品費に充て、出版部数を減らすなどして、編集・出版費用を削減することとする。
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