研究課題/領域番号 |
17K17720
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
林 慶浩 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 研究員 (80739029)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 計算化学 / ゼオライト / 軌道相互作用 / 酸強度 |
研究実績の概要 |
ゼオライト触媒における酸強度の予測法の構築を目指し、ゼオライトにおける酸点構造(Si-(OH)-Al基)の局所構造が、酸強度を表す指標の一つである脱プロトン化エネルギー(DPE)に及ぼす影響を、軌道相互作用に基づいて明らかにすることを目的とした。ゼオライトのDPEに軌道相互作用が及ぼす影響について、DFT計算とNatural Bond Orbital(NBO)解析を用い次の2点を明らかにした。 (1) Si-(OH)-Al基の酸素上の孤立電子対軌道と、隣接したSi-OやAl-O結合の反結合軌道との軌道相互作用(n-σ* 相互作用)が、DPEの減少に寄与する。 (2) 種々のゼオライト骨格におけるSi-(OH)-Al基の局所構造とDPEとの関係は、n-σ* 相互作用の軌道の重なりの大きさにより説明できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に計画していた、Si-(OH)-Al基の局所構造とDPEとの関係の解明を、種々のゼオライト骨格において、DPEとn-σ* 相互作用の軌道の重なりの大きさとの相関を示すことにより達成した。このことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、これまでの成果を国際学術誌に投稿し、受理を目指す。さらに、ゼオライト酸点構造の組成が酸強度に及ぼす影響を調査する。これらを総合して、ゼオライト触媒における酸強度の予測法の構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
量子化学計算の実行のためのスーパーコンピューターが今年度に刷新され、大幅に性能が向上した。このため、計算時間により課金される計算機使用料が当初想定よりも少なくなった。 次年度使用額は、量子化学計算の実行のための計算機使用料として支出予定である。また、現在準備中の英語論文の英文校正費及び国内外の学会参加費も支出予定である。
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