今年度の研究課題は、前年度に対象を絞ったコロンビアの画像収集とその他データ収集を引き続き行った。 第一に、2020年に入り、コロンビアのCentro de Datos-CEDEより新たなデータベースを入手することができた。そのため、リサーチ・デザインを新たに設計し直している。 第二に、コロンビアの一国研究に加え、多国間比較研究を実施する必要がある。昨年度、空間ラグX項を追加した空間回帰分析の結果をAmerican Political Science Assoication (APSA) の大会で発表した。今年度は、従属変数を公衆衛生の状況を示す変数であるhealthy life expectancyを用いた研究を行った。戦争と公衆衛生に関する先行研究では、クロスセクショナル・データを用いて空間分析を実施したものか、パネルデータを用いた分析を実施したもののどちらかに限られ、それらを組み合わせた分析を実施したものはなかった。そこで、2018年度に報告した研究の分析モデル(空間+パネル)を利用しようと考えた。しかし、その研究の過程で、2018年度の分析モデルの不備が明らかとなり、空間ラグX項に空間誤差項を追加したspatial Durbin error modelという新しい分析モデルを修得した。その結果、より適切な分析モデルを用いても、なお内戦が公衆衛生に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。本研究結果は、2020年度の選挙学会で報告する予定である。また、この分析モデルを用い、2018年度にAPSAで報告した研究をさらに発展させ、2020年度のポスターセッションで報告する予定である。 第三に、波及効果として本研究で得られた知識を元に、紛争後の森林管理に関する共同研究を2020年3月開催のInternational Studies Associationで報告予定(コロナの影響で中止)。
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