研究課題/領域番号 |
17K17731
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
本橋 永至 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50707239)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インターネット広告 / LDA / クラスタリング / 広告効果測定 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,インターネット広告配信における顧客行動予測モデルの構築し,顧客のインターネット上の行動におけるメカニズムを明らかにすることである.2017年度は主に関連する既存研究の調査と顧客のクラスタリング手法の開発を行った. インターネット広告に関する研究は,人工知能とマーケティングの分野で盛んに行われており,企業のマーケティング実務に密接に関連するため,産業界においても極めて関心が高い分野である.学術研究の調査については,文献整理に加えて,国内では,人工知能学会や日本マーケティング・サイエンス学会,国外では,INFORMS Markering Science Conferenceに参加し,最新の研究動向を把握した.また,人工知能に関する複数の展示会に参加し,産業界におけるインターネット広告配信の現状とニーズを調査した. 顧客クラスタリング手法については,LDA(Latent Dirichlet Allocation)をベースとするモデル開発を行った.LDAは,自然言語解析の分野で発展したトピックモデルの一種であり,文書中の単語のトピックを確率的に求める言語モデルである.顧客のインターネット上の行動の分析においては,ウェブサイトの閲覧履歴が記録されたビッグデータを効率的に解析する必要があり,LDAはユーザーとウェブサイトの双方のクラスタリングに適した手法である.研究成果をInternational Federation of Classification Societiesの研究大会で発表し,国際学術雑誌The Review of Socionetwork Strategiesに査読付き論文が掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関連する既存研究の調査を十分に行うことができ,クラスタリング手法の開発に関する研究の成果を公表することができたことから,当初の計画に沿って順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は主にインターネット広告の長期効果に関する研究を行う.これまで,インターネット広告の短期効果に関する研究は盛んに行われてきたが,長期効果に関する研究は十分に行われてきているとは言えない.本研究では,状態空間モデルをベースとして,インターネット広告の長期効果を考慮した顧客行動予測モデルを開発する. 状態空間モデルは,状態変数の時間的な変化を表すシステムモデル,状態変数と観測変数の関係を表す観測モデルの2つから構成される.モデル化の課題として,状態ベクトルの次元が膨大になることが挙げられる.その対応策として,潜在変数の階層化やスパコンを用いた並列計算による状態推定を検討している. 研究成果は,国内では,日本マーケティング・サイエンス学会,国外では,INFORMS Marketing Science Conferenceにて発表する予定である.研究に対する意見やコメントを検討した上で,論文としてまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた物品の購入を次年度に行うことにしたため,次年度への繰越しが発生した.繰越し分については,今年度購入予定だった物品の購入に充当する.
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