本研究では,インターネット広告配信の最適化に関するいくつかの成果を得ることができた.主な成果は以下の3点である.第1に,LDAをベースとするWebサイトの分類モデルを提案した.インターネット広告代理店は,Webサイトに埋め込まれた膨大な広告スペースを保持しており,どの広告をどこに配信すべきかを判断する必要がある.したがって,効果的な広告配信を行うためには,各Webサイトの特徴やトピックを適切に把握しなければならない.提案手法は,Webサイトの分類が広告戦略の最適化において有効であることを示した.第2に,状態空間モデルをベースとするインターネット広告の効果測定手法を提案した.インターネット広告配信においては,コンピュータによって自動的に施策が実行されるマーケティング・オートメーションが果たす役割が大きい.このような状況では,データを適切に分析し活用できるかが,広告配信の効果を決定する重要な要因となる.提案手法は,広告効果の時間的な変化を捉えることができ,効果的な広告配信において有効であることを示した.第3に,アンサンブル学習をベースとするインターネット広告効果の要因分析手法を提案した.まず,静止画広告においては,広告画像の構成要素の抽出にコンピュータービジョンを用いて,人が解釈可能なキーワードや色彩情報を得た.さらに,GBDTを用いて,各特徴量の重要度と交互作用を推定し,広告画像の中でクリックに対して有効な要素を特定した.次に,動画広告においては,静止画と同様にコンピュータビジョンを用いて,動画広告から解釈可能なキーワードを抽出し,ブースティング手法を用いて,広告効果に対して重要な要素を特定した.また,これらの主な成果以外では,インターネット広告の研究において得た知見をモバイルクーポンに適用し,モバイルクーポン配信の最適化において有用な示唆を得ることができた.
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