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2018 年度 実施状況報告書

心臓カテーテル撮影における動画倍速駆動処理技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K17738
研究機関新潟大学

研究代表者

長谷川 晃  新潟大学, 医歯学系, 助教 (20749999)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード人工知能 / ディープラーニング / 不鋭除去 / 心臓血管撮影 / 動画
研究実績の概要

本研究の目的は、循環器専用血管撮影装置で撮影された動画の残像や心拍動によるブレを定量的に評価し、その結果に基づいた効率的な画質改善を画像処理で行うことにより、被ばく線量を増やすことなく、鮮明な動画を取得することである。昨年度は定量的評価によるブレの影響を明確にすることができたが、本年度はその結果を基に、不鋭の除去処理を行った。
不鋭の除去処理の手法として、人工知能(AI)の一手法であるディープニューラルネットワークを用いた。U-Netと言われるディープニューラルネットワークを使用し、動画を1フレームごとの画像に分割し、不鋭のある画像と不鋭のない画像を学習させ、不鋭のある画像から不鋭部分のみを除去させた。この結果、不鋭は完全に除去され、これは定量的な評価においても確認された。
AIにより様々な虚像(アーチファクト)の除去を試みた研究は近年増えてきているが、U-Netを用いて不鋭の除去を試みた研究はなく、また、ほぼ完全に不鋭を除去できたという報告はない。この結果は、非常に鮮明な動画を提供するための要素技術となり得る。
ただし、今回はU-Netが要素技術になり得るかどうかを試すことに主眼を置いていたため、画像の濃度値をU-Netが学習しやすいものに変更して処理をした。今後は画像の濃度値を原画像そのままで処理をすることにより、医療画像としての情報を損なわずに不鋭を除去できるように処理する。また、研究実施計画の最後にも記載のあるフレーム補間処理技術の開発も目指し、最終的に被ばく線量を増やすことなく鮮明な動画が得られることを目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定では「画像処理フィルタを使用した残像の補正」と「画像処理フィルタを使用した、ブレ(不鋭)の低減」としていたが、U-Netを用いた画像処理を行ったところ、定量評価において不鋭のない静止画とほぼ同等、もしくはそれ以上の画質が得られていることが判明した。
このことから、U-Netの使用により残像補正と不鋭低減の両方を達成できたと考えられる。したがって、当初の予定を達成したと判定した。

今後の研究の推進方策

今後は画像の濃度値をU-Netに学習させやすい形に変更することなく、医療画像としての情報を損なわずに不鋭を除去できるように処理する。また、処理用コンピュータのスペックの問題で画像を細かく切り出しつつ不鋭処理を行っていたが、今後は処理用コンピュータのスペックを改良しながら、原画像そのままの大きさで不鋭処理ができるようにする。さらにフレーム補間処理技術の開発も目指し、最終的に被ばく線量を増やすことなく鮮明な動画が得られることを目指す。
課題として、現在は模擬心臓としてメトロノームを使用して不鋭除去処理を試みていたが、実際の心臓とは全く異なる構造をしているため、実際の心臓を撮影した動画でもU-Netが有効か試す必要がある。このため、心臓を撮影した臨床データが得られるように倫理的対応を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

差額分は論文誌投稿費であり、次年度(2019年5月)で採択され公開されることとなったため、請求は次年度となる。なお、投稿費の支払いは2019年6月頃を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 深層学習を用いた心臓血管撮影動画像における冠動脈の動きによる不鋭の除去2019

    • 著者名/発表者名
      長谷川晃、野口映花、李鎔範
    • 雑誌名

      医用画像情報学会雑誌

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 深層学習による心臓血管撮影動画像のモーションアーチファクト除去2019

    • 著者名/発表者名
      野口映花、長谷川晃、李鎔範
    • 学会等名
      医用画像情報学会平成30年度春季(第183回)大会

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公開日: 2019-12-27  

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