研究実績の概要 |
本研究では、遷移金属錯体触媒による配位重合を用いた汎用ジエン類とデンドラレンとの共重合により、ポリマー内部に共役ジエン骨格を有するポリマー材料の開発ならびにこれを用いる新規ゴム材料開発の基礎的な知見を得ることを目的としている。 これまでにハーフチタノセン錯体とメチルアルミノキサンを用いる均一系分子錯体触媒を用いる2-フェニル[3]デンドラレン(P3D)の単独重合ならびにイソプレンとの共重合を検討し、その重合特性について明らかにしてきた。 本年度は新たにP3Dとスチレンとの共重合について検討した。触媒や重合条件はイソプレンとの共重合で使用したものをそのまま使用し、重合の検討を行ったが、ポリマーを得ることはできなかった。類似の重合において、共役ジエンとスチレンの共重合は共役ジエンの重合の場合と比較して高温条件が必要であることが知られており、重合温度を40℃まで上げて重合を検討したところ、転化率は低いもののポリマーを得ることができた。サイズ排除クロマトグラフィーの結果からは標準ポリスチレン換算で平均分子量が5,000、分子量分布が1.6程度であった。得られたポリマーのNMRからはスチレンユニットとP3Dユニットの存在が確認されたものの、その組成は仕込み組成と大きく異なり、P3Dの方がスチレンよりも含有量が多く、P3Dの重合が優先されることが明らかとなった。このことは、P3Dとイソプレンの重合において重合時の仕込み組成とポリマー中の組成がほぼ一致することと対照的な結果であると言える。
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