2009年7月、日本の計量法に定められた長さの国家標準(特定標準器)がフェムト秒光周波数コム(以下、光周波数コム)へと変わった。光周波数コムの繰返し周波数 が安定しているため、隣接したパルス繰返し間隔長(adjacent pulse repetition interval length,APRIL)もメートルの実現に応用できる。APRILによる長さ計測を実現するには、変形マイケルソン干渉計を提案している。それは重なった二つの干渉計である。それぞれ、バランスしたマイケルソン干渉計とアンバランスしたマイケルソン干渉計である。両干渉計が物体鏡以外は共通する。両物体鏡間の距離は計測したい長さである。両物体鏡からの反射光による干渉縞をそれぞれ取得できる。これまでは、干渉縞の線形検出が使われていたが。本研究はその非線形検出を研究した。それにより、測長に使えるパラメータは基本波と2倍波による包絡線ピークとその位相ゼロクロス点に4つになる。
干渉縞から距離情報を特定するために、フーリエ変換法を利用し、包絡線または位相を再建する。この再建にフーリエ変換法が使われる。その中で周波数領域に置いて、信号とノイズを区別するためにフィルタリングという操作がある。どのようにフィルタを選択するのか、明確な基準はなかった。周波数スペクトルがつよい信号のみを包絡線再建に選択すればよい。しかし、包絡線再建に複数の周波数を選択すれば、平均に使う周波数が増える。変調・復調という観点からは、より広い周波数成分を選択すれば、元の信号が再建される。測長を実現するためには、正しい包絡線ピークの位置だけを得ればよい。本研究は周波数ペアモデルを提案した。提案法を用いて、選択した周波数成分によって再建した包絡線に及ぼす影響を調べた。まだ、一連の包絡線、位相の分析法を提案し、検証した。
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