研究課題/領域番号 |
17K17744
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
白神 敬介 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20598635)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スティグマ / 保育士 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、保育者がもつ特定の家族背景に対するスティグマの様相を明らかにし、保育におけるスティグマ是正プログラムを提案することであった。保育者がもつスティグマによって、特定の家族背景をもつ保護者や子どもが保育活動のなかで不利な状況や立場におかれる可能性がある。ゆえに、保育におけるスティグマの是正は、困難を抱えた子どもや家庭への適切な関わりを保障し、インクルーシブ保育やダイバーシティ社会の実現につながる重要な意義をもつ。保育者のもつスティグマへの介入を検討するうえで、保育者の経験・知識・個人特性・環境とスティグマとの関係を整理することが必要である。そのためH29年度は、スティグマ対象となりうる家族背景についての先行研究の調査と質問紙調査実施のための予備調査を行った。当初の研究計画のなかで「特定の家族背景」として想定していたのは、虐待、外国にルーツをもつ家族、自死遺族、精神疾患、発達障害、性的少数者(LGBT)、貧困等であった。先行研究調査ならびに保育者へのインタビュー調査より、特に外国にルーツをもつ家族や貧困の背景をもつ家族が保育現場では気になる対象として認識されやすく、こうした属性をもった保護者・子どもはネガティブな認識を受けやすい可能性が示唆された。また、先行研究調査より、スティグマと諸要因との関係、特定の家族背景に対するスティグマ傾向を明らかにするための質問項目群の開発を進めた。次年度以降は、上記調査をもとにした質問紙調査を実施するとともに、保育者のもつスティグマを適切に捉えるため、IATによる潜在的態度の測定手法についての実施可能性を検討し、調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特定の家族背景への潜在的態度を測定するIATの実験手続きの妥当性と信頼性を検証するための予備実験については、倫理的配慮を十分に行うため調査方法の慎重な検討を進めており、予定よりも実施が遅れている。同様に、保育士を対象とした質問紙調査については、質問紙調査項目の準備はほぼ完成したものの、調査対象者について再検討する必要が生じたため実施が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、特定の家族背景への潜在的態度を調べるためのIATについて予備実験を行ったうえで、保育士を対象とした本実験を行う予定である。また、並行して、質問紙調査の実施し、データの分析を進める。そのうえで、次年度に向けた保育におけるスティグマ軽減プログラムのための資料収集と専門家との協議を進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
H29年度に質問紙調査を実施する予定であったが、実施予定がH30年度に変更になったため、次年度使用額が生じた。またそれに伴い質問紙調査の実施経費だけでなく、結果の分析ならびに情報管理のための機材の経費も次年度使用額となった。次年度使用額の使用計画としては、当初予定した通りに質問紙調査の実施と分析のための印刷・郵送費、データ入力ならびに分析のための経費として用いる。
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