研究課題/領域番号 |
17K17746
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
藤田 恭輔 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (70707538)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オレアノール酸 / 筋萎縮 / C2C12細胞 |
研究実績の概要 |
がん悪液質は、筋萎縮、脂肪減少、食欲不振、全身衰弱などを特徴とする全身性の代謝異常であり、がん患者の生活の質の低下や早死につながる。がん悪液質の主な原因は炎症性サイトカイン増加である。がん悪液質において筋萎縮は、運動量減少、食欲低下、低栄養状態の悪循環に陥るため、筋萎縮の早期抑制ががん悪液質の治療のカギとなる。オレアノール酸などの28位にカルボキシル基を持つトリテルペンは、機能性トリテルペンとよばれ、様々な生理作用を有することが知られている。そこで本研究では、機能性トリテルペンやそれを含む食品であるエゴマ葉についてがん悪液質性筋萎縮に対する効果をin vitro、in vivoの両面から明らかにすることを目的とした。平成29年度は、がん悪液質性の筋萎縮のin vitroモデルに対するオレアノール酸の効果を検討した。マウス横紋筋由来C2C12細胞を、2%ウマ血清により筋管細胞に分化させたのちにTNF-αで処理することで、ミオシンの発現量および筋管細胞の径が、TNF-α未処理の細胞より低下した。TNF-αの処理と同時にオレアノール酸を添加しても、TNF-αによる筋管細胞の委縮は改善されなかった。C2C12細胞を2%ウマ血清で分化誘導を行う段階で、TNF-α処理するとミオシンの発現誘導が抑制されたが、オレアノール酸を同時に添加してもミオシンの発現抑制には影響を示さなかった。これらの結果より、in vitroの悪液質性の筋萎縮モデルに対して、オレアノール酸は影響を示さないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroにおいてもオレアノール酸が悪液質性の筋萎縮に対して改善効果が示されるものと期待していたが、これまでの研究では期待していたような結果を得ることができなかった。しかし、このような結果になることも想定の上で次年度以降の研究計画を立案していたため、今後も計画通りに研究を進めていくことができる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、当初の研究計画通り悪液質モデルマウスを用いて、in vivo系によりオレアノール酸等の機能性トリテルペンの筋萎縮に対する効果を検討していく予定である。しかし、平成30年度より所属機関が変更となり、研究設備等が整っていないことも考慮し、規模を縮小して研究計画を遂行する可能性もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初期待された結果であれば、詳細なメカニズムを調べる予定であったが、その必要がなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、所属機関が変更となるため、実験環境整備のため当初想定されている研究経費より多く使用する計画である。
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