研究課題/領域番号 |
17K17753
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
村野 正景 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 客員研究員 (50566205)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学校資料 / 学校資料活用ハンドブック / 学校所蔵考古資料 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、京都府内の学校所蔵の考古・歴史資料の概要を把握し、その資料の特色や活用のあり方を示す資料論構築を目指すことにある。今年度も京都府内の複数校の所蔵品を記録、撮影し、学校資料のデータベース作成をおこなった。またあわせて資料の来歴や保管状況、現在および今後の活用状況について、資料管理担当教員へ聞き取りもおこない、学校資料の課題や期待について直接的意見をいただいた。さらに来歴については、考古資料の収蔵にかかわった当時の教員や学生に聞き取りをおこない、資料コレクション形成の具体的過程をうかがうことができた。とりわけ京都府立網野高校所蔵の考古歴史資料は、当時の学校クラブが実施した発掘にかかる図面や写真、書類が比較的多く残されており、それらを一つ一つ秩序立てて整理することによって当時の調査研究の様子がかなり明らかになった。ほかにも京都市立北白川小学校の生徒らが執筆して60年前に作成した『こども風土記』は、かつて梅棹忠夫や永井道雄などの学者や教育者が絶賛した書籍であるが、現在もアーティストの創作活動に刺激を与えているわかった。ここに学校資料の価値の一つが見出せた。こうした知見を踏まえ、前年度に立ち上げた学校資料研究会などにて成果公開をおこなった。そしてさらに学校資料の活用にかかる書籍『みんなで活かせる!学校資料:学校資料活用ハンドブック』を、研究会参加者らの協力を得て制作・刊行した。本研究の目的である資料論の一つの骨格を示したものであり、類書のない新しい書として新聞やSNSなどでも取り上げられて好評を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り京都府立鴨沂高等学校の資料について、資料の記録化作業をおこなうことができた。また他にも京都府立峰山高校、同網野高校、同久美浜高校、京都市立北白川小学校などで実地研究をおこない、目録作成をおこなった。比較研究の一環として隔月程度で研究会を開催し、他府県の事例 の情報収集をおこなうことができた。ただし基礎調査に関しては、今年度も府内全体の学校から回答を得ることは難しく、今後も続けて情報収集につとめる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度刊行した『みんなで活かせる!学校資料:学校資料活用ハンドブック』について学校教員と議論や実践をおこない、それを通じて批判・意見を得て、学校資料活用にかかる基礎理論構築を目指す。また京都府内の学校所蔵資料に関する基礎調査を進める。なお府内の複数市で学校資料の悉皆調査がおこなわれており、それらと連携を持ちながら、より具体的な府内の学校資料情報を把握したい。さらに研究会の開催や資料の授業での活用を実践しながら、よりよい資料の保存・活用モデルの構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は旅費を縮減できたため次年度使用額が生じた。次年度の成果報告書の増刷など、成果公開の促進に利用する予定である。
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