研究課題
若手研究(B)
悪性度の高い脳腫瘍である膠芽腫(グリオブラストーマ)では、放射線・化学療法に対して耐性を持ち、転移や再発の直接の原因となる、がん幹細胞様集団が見出されている。本研究では、このがん幹細胞様集団特異的なミトコンドリアの形態や細胞内局在を見出した。この特異的なミトコンドリア動態が、細胞表面のグリコカリックス発現を制御し、細胞障害性Tリンパ球によるグリオブラストーマ幹細胞様集団の細胞認識・傷害に関与していることを明らかにした。
細胞生物学
これまでがん細胞では、エネルギー代謝制御におけるミトコンドリアの役割が注目・研究されてきた。本研究では、ミトコンドリアの形態や細胞内局在が、がん細胞の悪性形質を制御し、がん免疫療法の効率に関わることを初めて明らかにした。本研究の成果は、悪性がん細胞特異的なミトコンドリア動態が、治療標的となりうる可能性を示唆し、新規のがん治療研究への布石となったと考えている。