研究課題/領域番号 |
17K17766
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岡本 悠子 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特別研究員 (10635139)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | fMRI / 子ども / 発達 |
研究実績の概要 |
本研究は、自閉スペクトラム症の運動障害と社会性障害が共通のメカニズムによって生じるか、fMRI研究を用いて検証することを目的としている。2017年度は、以下2つの研究で運動と対人コミュニケーションの両者に関連する模倣の脳活動を調べることで、「定型発達児では運動と社会性に関連する神経基盤がどのように発達し自閉スペクトラム症者でどのように異なるか」検証した。 研究1では、大人の自閉スペクトラム症(18名)と定型発達者(18名)を対象に、身体の視点(自己視点と他者視点)に関わる脳活動を計測した。その結果、定型発達者と比べて、自閉スペクトラム症ではLOTCとmPFCの活動が一貫して低かった。さらに自閉スペクトラム症者中でも模倣の苦手な実験参加者はCerebellumとIPLの活動が低いことが分かった。本研究の結果から、今後自閉スペクトラム症者の中でのheterogeneity (異質性)の評価と、LOTCに加えてIPL、Cerebellumの活動を検証する必要性が示された。本研究成果は国際学会で発表後、英文誌に投稿した(2018年4月に受理)。 研究2では、大人と子どもの定型発達者(各18名)を対象に、実際に模倣したり模倣されている時の脳活動を計測した。その結果、大人と比べて子どもでは、LOTCと機能的結合を持つIFGの活動が低く、機能的結合自体も減弱していることが分かった。この結果は、定型発達者内でも、発達に伴い脳活動とその機能的結合が変わりうる可能性を示しており、今後発達的視点を加えて自閉スペクトラム症者の脳活動を評価する必要性が示された。本研究成果は、2018年度に国内学会で発表を行うことを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属研究機関変更に伴う準備により研究計画の見直しを行ったが、本研究課題の目的を達成するために必要な検証が完了し、次の研究に生かすことが出来る発見も得られた。研究成果の発表も順調に進んでいることからも、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の3点について研究を進める。 1. 研究実績の概要にある研究2について、学会発表と論文作成を行う。 2. 2017年度は模倣能力との関連性の検証に留まり、運動スキルや社会スキルと脳活動の関係性まで検証することが出来なかったため、2018年度に検証を進める。 3. 近年、機械学習を用いたMVPAという手法によって、脳機能をより詳細に検討できることが分かってきた。2018年度はこの手法を用いた新たな実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、実験計画の見直しを行うにあたり、当初予定していたfMRI実験が後倒しになったためである。次年度使用額はfMRI実験の実施に使用する予定である。
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