研究課題/領域番号 |
17K17766
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡本 悠子 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (10635139)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | EBA / 自閉症 / 身体 / 運動 / fMRI |
研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)は、社会性障害を中核症状とする発達障害である。ASD児の多くが運動の苦手さを呈するが、運動障害と社会性障害に共通の生理学メカニズムがあるか、それとも異なる生理学的メカニズムがそれぞれの症状を引きおこすかは不明である。本研究は、自閉スペクトラム症の運動障害と社会性障害が共通のメカニズムによって生じるか、fMRI研究を用いて検証することを目的としている。
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響のためfMRI実験は行わず、既存データの解析・論文化を進めた。その結果、さまざまな身体部位を見たときの高次視覚野の空間的な活動パターンが、ASD者と定型発達者に差がないことを明らかにした (Okamoto et al. in preparation)。
また、定型発達者を対象にした研究では、手のperspective(一人称視点・三人称視点)とidentity(自己・他者)の統合に、高次視覚野と初期視覚野の機能的結合が寄与すること(Okamoto et al. under review)、高次視覚野は表情、手のジェスチャー、発話など動作の種類に関わらず相互模倣時に自他の動作の同一性の検出に関わること(Okamoto et al. under review)を明らかにした。これらの基礎的知見は、ASD者の高次視覚野の活動低下を評価するのに重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、出張と対面を伴うfMRI実験が行えなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に延期になった、ASD児・者を対象としたfMRI実験を行う。この実験は、身体部位を見たときの高次視覚野の空間的な活動パターンを評価し、感覚特性(SP)、運動スキル(MABC2, DCDQ)、社会性(AQ, SRS)の個人差と関連するか調べるものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため、fMRI実験ができなかったので期間の延長をした。2021年に繰り越した費用は、fMRI実験に係る経費(実験参加者謝金・計測用機器)に使用する。
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