研究課題/領域番号 |
17K17767
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
橋本 隆 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特命助教 (60712891)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 解剖 / 発生 / 消化器 / 腸管神経系 / ヘッジホッグ |
研究実績の概要 |
四肢発生や中枢神経系の構築にも重要な役割を果たすと考えられるソニックヘッジホッグ(shh)伝達経路について、腸管組織においても関連分子が発現する。しかしその欠失によって形態異常が起こることが知られながらも発現動態・局在分布や腸管形成に係る機能については不明な点が多い。計画内容に沿ってマウス腸管におけるShhシグナリング関連分子の局在解析を進めるため、特に転写因子Gliについてトランスジェニックマウスを用いて組織化学的に検討した。その結果、成体マウスにおいてGli転写因子は主に粘膜間質と筋層に分布することが明らかとなった。また、粘膜間質においては上皮下や粘膜下組織に散在しており、筋層では主に輪走筋内層に陽性細胞が観察された。蛍光多重染色法によりGli1陽性細胞の大多数は平滑筋であり、盲腸・結腸では輪走筋周縁のカハール介在細胞や粘膜組織では線維芽細胞にも認められた。同様の結果をGli2についても観察しているが、一部異なる組織分布を示すことも新規に発見している。これらの結果について、日本解剖学会総会全国学術集会等において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究目的の一つに、腸管神経系における神経叢間の神経投射・伝達様式の解明を加えており、立体解析を目標に組織標本透明化を試みている途中である。
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今後の研究の推進方策 |
進度はやや遅れてはいるが申請書の計画に沿い、ヘッジホッグシグナル関連分子の消化管における組織学的情報について、ノイエスを交えて取得しつつある。今後は発生期における同分子の発現動態についても解析対象を拡大していく。計画にある「透明化法の腸管組織への適用」については、申請内容に記したCUBIC・ScaleA2法のみに拘らず、TDE・ClearT法等も検討して実験条件の最適化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
腸管組織透明化法の条件検討難航に伴い、未実施分の解析費用を次年度に持ち越すこととした。持ち越し相当額は、透明化法の改良を主目的に使用予定である。
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